イヌマキの詳細と、ラカンマキとの違いを書きました。イヌマキは、葉が大きく、間隔をおいて、水平気味につきました、ラカンマキは、葉が小さめで密につき、上をきます。両者ともマキ科イヌマキ属の常緑高木針葉樹で雌雄異株で、庭木や生垣、防風林などに植えられます。
イヌマキの詳細と、ラカンマキとの違い
イヌマキの葉
冒頭と、こちらの写真は、イヌマキです。
イヌマキは、庭木や生垣などにされますが、イヌマキの変種のラカンマキと同じマキ科イヌマキ属に属し、よくにているので、混同されがちです。
また、同じようにマキとつくコウヤマキは、日本固有種でウヤマキ科コウヤマキ属に属し、ちがう種類になります。
きれいに仕立てられた庭木をよく見かけますが、どちらも同じように使われているようです。
ここでは、よくにたラカンマキと比較しながら、イヌマキについてみてみたいと思います。
よくいわれることは、イヌマキの葉は、ラカンマキにくらべて大きく、葉がつく間隔が広めで、下がり気味につくということです。
イヌマキの葉の写真だけを見ても、ピンときませんが、つぎのラカンマキの写真をみるとどうでしょうか。
こちらは、我が家の山に植えたラカンマキの葉です、たしかにこちらの方が、上向きで密についているようです。
慣れれば、これでもわかるでしょうが、いま一つ確信が持てないように思います。
そこで、葉の大きさを比較してみました。
左が、葉の表面、右が裏面をならべて撮ったものです。
両者とも表面は濃い緑で光沢があり、裏面はよくにた薄緑ですが、大きさは明らかに違います。
イヌマキの葉は、長さ10~18cm 幅0.7~1cmですが、ラカンマキは、長さ4~8cm 幅0.4~0.8cmほどと小さくなります。
見分けるためには、葉の大きさを見るとわかりやすいようです。きれいに形造られた庭木をよくみかけますが、近づいて見てみると、どちらかがわかってくるだろうと思います。
イヌマキの実
イヌマキの雌の樹には、写真のような変わった実をつけます。
上についている黒い部分が種で、したの赤い部分が花托と呼ばれる実の部分です。種は有毒で食べられませんが、花托はあまく生食できます。
ちなみに、ラカンマキも同じような実をつけますが、この実の様子が羅漢(お坊さん)ににているとして名づけられたと言われます。
イヌマキの樹形
庭木で見るイヌマキは、剪定されているので樹形がわかりませんが、そのまま大きく育っていると思われる樹を見かけたので、撮らせていただきました。
樹高は10mくらいでしょうか、枝も大きく横にも伸びている様子が見られます。
イヌマキとラカンマキの違い
以上、イヌマキについて、ラカンマキと比較しながら書いてきましたが、違いをまとめました。
イヌマキは、葉の大きさが大きく、間隔をあけて水平気味につけ、ラカンマキは、葉が小さめで、密に上向きにつく点が見分けるポイントになります。
イヌマキ | ラカンマキ | |
葉の大きさ(長さ、幅) | 10~18cm、0.7~1cm | 4~8cm、0.4~0.8cm |
葉の付き方 | 間隔をあけて水平ぎみ | 密について上向き |
樹高 | 15~20m | 5m程度 |
イヌマキの基本情報・花言葉
イヌマキ(犬槙)は、中国、台湾、朝鮮半島や、日本の関東以南に分布する、マキ科マキ属の常緑高木針葉樹で雌雄異株です。
名前は、ホンマキ(本槙)とも呼ばれるコウヤマキ(高野槙)などにくらべて、葉や姿形が劣るとしてイヌマキ(犬槙)とつけられたと言われます。
また、「マキ」は真木と書かれ、古くはまっすぐにのびる優れた樹として、スギ(杉)、ヒノキ(檜)、アスナロ(翌檜)、コウヤマキ(高野槙)などを指していますが、これに対して、幹が螺旋状に成長し、割れやすいとして、イヌマキと呼ばれるようになったとも言われます。
別名は、マキ、クサマキ(臭槙)。クサマキは、枝などを切ると匂いがすることからつけられたようです。
学名は、Podocarpus macrophyllus
英名は、yew plum pine、 Buddhist pine、fern pine
花期は5~6月で、雄株の前年枝には長さ3cm程の穂状の黄色みを帯びた雄花がつき、雌株には先端に胚珠(ハイシュ)のある雌花がつきます。
果実は、10~12月ごろ熟し、先端に緑色で白い粉をつけた種ができ、その下に暗紫色の花托がつきます。種は有毒ですが、花托は甘く、食べることができます。
葉は互生し、長さ10~18cm 幅1cm以下で、細長く扁平で、縁には鋸歯がありません。
樹高は20m、直径は1mほどになります。樹皮は灰白色で古くなると縦方向に割れます。
土を選ばず、日陰でも丈夫にそだち、病虫害の被害も少ないため、古くから、庭木、生垣、防風林などに利用されてきましたが、寒さに弱いため、栽培は関東以南になります。
材は、淡い黄色で耐水性や耐久性に優れているため、湿地用の建材や、風呂おけ、などに使用されます。
イヌマキの花言葉は、「慈愛」「色褪せぬ恋」で、誕生花は不明です。
花言葉は、イヌマキが、生垣や防風林にされて家を守ることや、常緑樹なので一年中きれいな緑をつけることに由来すると言われます。
ラカンマキの基本情報・花言葉
ラカンマキ(羅漢槙)は、中国、台湾や日本の関東地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布する常緑小高木針葉樹で雌雄異株です。
イヌマキの変種で、マキ科イヌマキ属に属します。
名前は、種子の形が袈裟を着た羅漢(僧)ににているとしてつけられました。
学名は、podocarpus macrophyllus var. maki
英名は、Yew plum pine
花期は5~6月で、雌の樹に雌花が、雄の樹に雄花が咲きます。
雄花は淡いクリーム色で穂状になるため比較的目立ちますが、雌花は小さい粒状でまばらにつくため見つけにくくなります。
実はイヌマキと同じで、先端に緑色で白い粉をつけた種ができ、その下に暗紫色の花托がつきます。種は有毒ですが、花托は甘く、食べることができます。
葉は長さ4~8cm 幅0.4~0.8cmで、イヌマキよりも短く、密生します。
樹高は2~5m、樹皮は灰白色になり、年数が経過するにしたがって縦に薄く剥がれます。
ラカンマキの花言葉は、「慈悲」で、12月4日の誕生花です。
参照サイト
Wikipedia イヌマキ
みんなの趣味の園芸 イヌマキ
ガーデニングの図鑑 ラカンマキ
弥生おばさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 イヌマキ
庭木図鑑 樹木ペディア 誕生日の木(12月)
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