ヒメクグは、7~10月に地面から20cmほどに伸びた花茎の先に、10mmほどの小さく丸い花序で花を咲かせます。名前の「クグ(莎草)」はカヤツリグサ類の古名で、小さいことから「ヒメ」とつけられました。湿気のある畑などに生え、厄介な雑草です。
10mmほどの小さな丸い花序で咲くヒメクグ(姫莎草)
ヒメクグの小さく丸い花
7月ごろから、畑の近くの草むらで、ヒメクグ(姫莎草)に花(花序)がついているのを見かけましたが、10月の今も咲いています。
20cmほどに伸びた花茎の先端に、緑いろで、たくさんの小さなツブツブ(小穂:ショウスイ)をつけた花序で、直径は10mmくらいでしょうか。
コンペントウのような、可愛い花です。
特徴がある形なので、小さくてもよく目につく花ですが、畑では駆除しにくく、嫌われ者です。
ヒメクグの名前は、「ヒメ」は小さいことを意味し、「クグ」は、カヤツリグサの古名であることに由来します。
ここでは、ヒメクグとしましたが、仲間のアイダクグの可能性があります。恐縮です。
以前記事にした、カヤツリグサの仲間ですが、スズメノヤリにも感じがにています。
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スズメノヤリは、花序が茶色い色をしており、茎の様子も違っているので、間違うことはないと思います。
遠くから見ると、緑の丸い塊にしか見えませんが、近づいてみると、
たくさんの小穂’(ショウスイ)がついて花序を構成していることがわかります。
小穂は、イネでいうと、ひと粒一粒をいうのだろうと思いますが、それがたくさん集まってついています。
この写真では、小穂(4mmくらい)の先から白いものが伸びて、その先が二つに分かれていますが、これは雌しべの柱頭のようです。
一つひとつの小穂には、一個の実がつくようです。
つぎの写真には、まだツボミなのでしょうか、雌しべらしいものは、ほとんど見られないようです。
マクロで撮って見ると、見た目とは違った姿を見ることができて、より楽しめますね。
草むらで生えていると、ほかの草木のために、全体の姿がわかりにくいのですが、ヒメクグだけが生えているものを見かけました。
太陽があまり当たらない日陰ですが、群生していました。
ヒメクグは、地下茎が周囲に広く伸びて、このように、あちこちから花茎を立ち上げるようです。
ヒメクグの葉と茎
こちらは、花茎が伸びた根元です。根元から根生葉がでており、その中心から花茎を伸ばし、先端に1個の花序を付けています。
写真ではわかりませんが、茎は断面が三角状で、この点も特徴の一つです。
あまりいい写真ではないのですが、この写真には、花序の下に葉のような形の苞が3枚写っています。
ヒメクグの苞は、このように長くのびた葉のようになります。ちょっと変わっていますね。
このように、いろんな特徴のあるヒメクグですが、日本では本州以南で自生しているとされます。
草むらで探してみてはいかがでしょうか。
ヒメクグの基本情報・花言葉
ヒメクグ(姫莎草)は、中国、インドネシア、インド、日本の本州以南に分布するカヤツリグサ科ヒメクグ属の多年草です。
「莎草」は、ササメやシャソウとも読まれ、スゲやチガヤなどのようにしなやかな草を意味し、カヤツリグサ類の古名です。
「姫」とつくのは、小さいカヤツリグサの意味を持たせるためとのことです。
学名は、Kyllinga brevifolia Rottb. var. leiolepis
花期は7~10月で、花序には花柄がなく球状で、大きさは直径5〜12mm、
たくさんの小穂をつけ密につけて、緑色です。苞葉は3枚前後つき、長くのびます。
小穂は長さ3〜4mmで長楕円形であり、完熟すると基部から脱落します
実は、小穂1個あたり1つだけで、熟すと、小穂の基部から外れて落下します。
花茎を出す前は、黄緑色の根出葉が広がって伸びます。花茎は断面が三角で、緑色でつやがあり、先端に花序がつきます。
花序のすぐ下には、長さが異なる葉状の3枚ほどの苞がつきます。
葉は柔らかく扁平で、幅は2〜3mm、やや平滑です。
また、茎は直立し、10~20cmの高さになります。
地下茎は浅い土の中を横に這い、茶色の鞘に包まれます。そして、節から花茎を出し先端に花序をつけます。
花言葉や誕生花は不明です。
参照サイト
Wikipedia ヒメクグ
野の花賛花 オオヒメクグ
芝地の雑草の見分け方と防除(10) カヤツリグサの仲間
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