コクサギは、本州以南の湿っぽい山地に自生する落葉低木で、歪んだ楕円状の実が3~4個かたまってつき、目を引きます。葉は二枚ずつになって互生し、コクサギ型葉序と呼ばれる独特の付き方も特徴です。名前は、葉や枝を傷つけるとクサギににた匂いがし、全体に小さいことに由来します。
3~4個でつく歪んだ楕円状の実が特徴的なコクサギ(小臭木)
コクサギの実
林道を車で走っていて、面白い形の実をつけた樹を見つけました。
腎形と呼ばれたりするようですが、
楕円状でなのですが少し変形、あるいは歪んだ形の実を
3~4個ほどにまとまってつけており、
見たことのないものでした。
調べて見ると、コクサギ(小臭木)と呼ばれる落葉低木で、
本州以南の湿気の多い山地などに自生しますが、
特に石灰岩質の土地やケヤキ林でよく育つようです。
この樹の葉や枝を傷つけると、クサギ(臭木)のような匂いがし、
樹全体がクサギより小さいことから、
クサギと呼ばれるようになったとされます。
上の写真は8月末に撮ったもので、まだきれいな緑いろですが、
10~11月ごろになると茶色く熟し、
中から黒い種を勢いよく飛ばします。
こちらが、熟したコクサギの実と種です。
「木のメモ帳 有毒でもないのに危ない実」によると、
種は、折りたたまれたバネのような硬い内果皮につつまれていて、
時期が到来すると勢いよく伸びきって、種と内果皮が一緒に吹っ飛ぶといわれます。
実測したところでは、9mも飛んだとのことです。
自然の営みの不思議に驚かされます。
コクサギの花
こちらは、コクサギの花の様子です。
素材サイトから借用しました。
花は4~5月に咲きますが、
花序になって薄緑の花がたくさんついています。
花を拡大しました。
コクサギは雌雄異株なので、
雄花には4個の雄しべがあり、
雌花には1本の雌しべがつき、雄しべは退化しています。
こちらは雄花のようで、雄しべが4本ついていますが、雌しべは見られません。
花びらは4枚で、花の大きさは直径が4mm前後と小さく、
個々の花は、派手さはないのですが、
たくさん咲き、数でカバーしてよく目立つだろうと思います。
コクサギの葉、幹
コクサギは葉の付き方に特徴があります。
写真をよくみると、葉が2枚同じ方向につき、
その前後には2枚逆方向についています。
2枚づつ互生してるということですが、
このようなつき方を、
「コクサギ型葉序」と呼ぶそうです。
こちらも見たことがないつき方で、驚きました。
こちらが今回見かけたコクサギの樹です。
林道沿いの傾斜地に生えていて、
樹高は1.5mでしょうか、
たくさんの枝がでて元気のそだっているようです。
昔は堆肥の材料にされたり、ウジ虫などの殺虫にも使われたといわれます。
あまり見かけることのないコクサギ、小さな樹ですが、独特の形の実や葉の付き方で、自己主張しているようです。
コクサギの基本情報・花言葉
コクサギ(小臭木)は、中国、朝鮮半島や日本の本州以南に自生するミカン科コクサギ属の落葉低木で、雌雄異株です。
名前は、葉や枝を傷つけるとクサギ(臭木)と同じように臭気がし、
クサギに較べて全体に小さいことに由来することに由来します。
別名は、ケナシコクサギ、ビロードコクサギ。
学名は、Orixa japonica
Orixaは、日本名「コクサギ」の片仮名を「ヲリサギ」と誤って読んだことに由来。
英名は、Japanese Orixa
花期は4~5月で、前年枝の葉腋に花序になって
淡黄緑色で直径7~10mmほどの小さな花を咲かせます。
実は、3~4個の分果で、大きさは長さ8~10mmほどのゆがんだ楕円形になります。
7~10月に熟し、上部が裂開して長さ4~5mmの種を1つ飛ばします。
葉は「コクサギ型葉序」と呼ばれる特殊な互生で、
2枚の葉が交互に互生します。
葉は、倒卵状、倒卵状長楕円形または菱形状卵形で先が尖り、
長さ5~12cm 幅3~7cmで、全縁か浅い鋸歯がつきます。
樹形は、落葉低木でたくさんに枝分かれし、樹高1~5mになります。
樹皮は灰白色または灰褐色で、小さな皮目がみられます。
湿ったヤブや林内でよく育つが、石灰岩地やケヤキ林などでもよく見られる。
昔は、若葉や枝を堆肥に入れて肥料にされたが、
殺虫の効果があり、便所のウジ殺しや牛馬のシラミ殺しに使われました。
参照サイト・書籍
Wikipedia コクサギ
三河の植物観察 コクサギ
森と水の郷あきた 樹木シリーズ154 コクサギ
木のメモ帳 有毒でもないのに危ない実
EVERGREEN コクサギ
高橋秀男他解説 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花2」
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