キクザキイチゲ(菊咲一華)は、3~6月ごろに咲かせ初夏に枯れるキンポウゲ科の多年草で、北海道から岡山、近畿以北に分布する日本固有種です。20~30cmほどの長さの茎の先に、2~3cmほどのキクのような白や薄紫の可憐な花を一輪咲かせます。
春に白や青紫に咲くキクザキイチゲ(菊咲一華)
キクザキイチゲの花
キクザキイチゲ(菊咲一華)は、3月ごろに、
地面から一本で伸びた茎の先に直径2~3cmほどのキクのようなかわいい花をひとつ咲かせます。
花びらのように見えるのは萼片で、8~12枚ついています。
そして、中心部にはたくさんの雌しべや雄しべがみられます。
3月ごろ春風が吹き始めるころに咲き始め、
6月に咲き終わって初夏に枯れてしまう短命の草花です。
このことから、フクジュソウ(福寿草)などと同様、
スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)(春の妖精)呼ばれる花たちの仲間です。
海外では見られず、北海道から岡山や近畿以北の落葉広葉樹などに分布する多年草ですが、
数が少なくなっており、山梨県など複数の県で、絶滅危惧I類や絶滅危惧II類などの指定を受けています。
このように枝分かれのない茎の先端が少し湾曲し、
そこに細長くヒラヒラとした萼片がたくさんついています。
花のいろは、写真のように、白や青紫などがみられますが、
環境がいいとよく繁殖し、群生するようです。
このような自然の花が、近くで見ることができるといいですね。
花言葉は、「静かな瞳」、「追憶」。
キクザキイチゲの近縁種には、
樺太、朝鮮半島、ウスリー地方や日本の北海道、本州、四国、九州に分布するアズマイチゲ(東一華)や、
近畿地方以西のれるユキワリイチゲ(雪割一華)があります。
つぎの写真は、アズマイチゲです。
ご覧のようにキクサキイチゲに良きにた花ですが、
葉に切れ込みがなくたれさがっており、付き方や形があきらかに違っています。
キクザキイチゲの茎と葉
キクザキイチゲは、根生葉から細い茎を伸ばし、
その先に写真のように、深い切れ込みのある3出葉をつけます。
草丈が20~30cmほどと小さく、葉も一段だけのようですが、
大きく葉を広げて、日の光を受け止めているようです。
初夏にはこの葉も枯れてしまうのですが、いまは元気に育っています。
ここは環境が適しているようです、このように一面に葉が生えて増えています。
春風に誘われて咲き出すキクザキイチゲ、短い期間ですが精一杯可憐な花を咲かせています。
キクザキイチゲの基本情報・花言葉
キクザキイチゲ(菊咲一華)は、北海道から近畿以北(岡山県北部を含む)に分布するキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、日本固有種です。
名前は、菊ににた花を一輪咲かせることに由来します。
別名は、キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)。
学名は、Anemone pseudoaltaica H.Hara
Anemoneは、語源がギリシャ語の「anemos(風)」です。
「風の娘」の意味をもち、早春の風が吹き始めないと咲き始めないことに由来します。
pseudoaltaicaは、偽のアネモネ、アルタイカ種を意味します。
H.Haraは、命名者の原寛氏を表します。
花期は3~6月で、茎の先に2~3cmほどの花を一輪だけ咲かせます。
花弁はなく、白から薄紫色の長楕円形の8~12枚の萼片をつけ、
中心部にたくさんの雌しべと雄しべをつけます。
開花した後に実をつけ、初夏に枯れることからスプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)(春の妖精)呼ばれる花の仲間です。
ephemeralは、「短命で一時的な」「つかの間の」を意味します。
葉は根生葉と茎葉からなり、根生葉は2回3出複葉で深く切れ込んだ羽状で、
茎葉は3出葉で輪生します。
草丈は10~30cmで、根生葉から1本の茎が伸び、先端に一輪の花を咲かせます。
山梨県などで、絶滅危惧I類や絶滅危惧II類などの指定を受けています。
キクザキイチゲの近縁種には、
樺太、朝鮮半島、ウスリー地方や日本の北海道、本州、四国、九州に分布するアズマイチゲ(東一華)や、
日本固有種で近畿地方以西に分布するユキワリイチゲ(雪割一華)があります。
花言葉は、「静かな瞳」、「追憶」。
参照サイト・書籍
Wikipedia キクザキイチゲ アズマイチゲ イチリンソウ属
四季の山野草 キクザキイチゲ
東アジア植物記 一瞬の幻 キクザキイチゲ
野山に自然に咲く花のページ ユキワリイチゲ
Frower library キクザキイチゲ
高村忠彦監修 日本文芸社 「季節の野草・山草図鑑」
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