チチコグサ(父子草)は、日本全土に自生するキク科ハハコグサ科の多年草です。5~10月に、ロゼット状に生えた細長い葉の中心から花茎を出し、先端に複数の頭状花をつけます。近縁種のハハコグサ(母子草)に較べて地味なので、チチコグサと名づけられたと言われます。
春から秋に咲くチチコグサ(父子草)の花
チチコグサの花
林道の脇の空き地にチチコグサ(父子草)が群生し、花や綿毛をつけていました。
ハハコグサ(母子草)はよく知られていますが、チチコグサは聞いたことが無い方が多いかもしれません。
チチコグサの花期は5~10月で、地面から伸びた花茎の先に、複数のまとまった筒状花((管状花))が丸くなってつきます。
写真では、アリが登ってきて蜜を吸っていましたが、華やかな花ではないので、他の昆虫も集まってくるのか気になりました。
このように、地味は花なので、近縁種のハハコグサに対してチチコグサと名前がつけられたと言われます。
つぎの写真はハハコグサですが、花の様子は、たしかにずいぶんと違います。
ハハコグサも茎の先端に、筒状花をつけますが、
花の先端が伸びて、黄色が目だって咲いているようです。
チチコグサとハハコグサは、花の構造はよくにていますが、花の咲きかたが違っているように思われます。
ちなみに花言葉は、チチコグサは「父親の愛情」で、ハハコグサは「無償の愛」です。
そっけないチチコグサの花言葉にくらべて、ハハコグサは「無償の愛」、母と子の愛情の深さをよく表していますね。
ハハコグサについては、記事にしていますので、よろしかったらご覧ください。
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春の七草、ハハコグサ(母子草)の黄色い花
ハハコグサ(母子草)は、春の七草のひとつので、越年生の野草です。4月ごろから黄色い花が咲き始め、5月になって盛んに咲いています。古名のゴギョウは、昔のひな祭りの風習において、川に流されていた厄除け用の ...
話をチチコグサに戻します。
冒頭や前の写真からわかるように、チチコグサの花の下には、
先が尖った線形の苞葉が3-4枚、放射状に広がってついていますが、
これが、この花の特徴の一つになります。
キク科の花なので、花が終わると、綿毛がつきます。
あまりきれいな綿毛ではありませんが、3mmほどの長さになります。
この下に実をつけますが、痩果(果皮が堅い膜質で、熟すと乾燥し、一室に1個の種子をつける)で、
1mmほどの大きさになります。
少し離れて、群生するチチコグサの様子を撮りました。
ここではたくさんの根生葉が生えていますが、よくみると、あちこちから花茎を出して花や綿毛をつけています。
たくさんの花を咲かせているのですが、残念ながら遠目からはあまり目立ちません。
たしかに地味なんですね。
チチコグサの花茎や葉
こちらは、根生葉から伸び花茎の様子をとったものです。
2.5~10cmほどの細長い葉が、地面にそってロゼット状に広がっており、
その中心部から花茎(写真では倒れています。)がのびています。
この花茎の長さは10cmほどですが、途中にまばらに細長い葉をつけています。
葉の表面はいづれも濃い緑いろですが、裏面は白っぽくなります。
あまりポピュラーでないチチコグサ、林道わきに団結してがんばって生えていました。
チチコグサの基本情報・花言葉
チチコグサ(父子草)は、中国、朝鮮や日本全土に自生するキク科ハハコグサ属の多年草です。
名前は、同じハハコグサ属のハハコグサに対して地味だとしてチチコグサと名づけられたと言われます。
学名は、Gnaphalium japonicum
英名は、Japanese cudweed 、father-and-child plant
花期は5~10月で、地面から伸びた花茎の先に、複数のまとまった頭状花(頭花)を丸くなってつけます。
花茎は分岐せずに、高さ5~25cmほどにのび、数枚の茎葉がつきます。
頭花は褐色でへら状の総苞に包まれた楕円形の小さなもので、先端は少し尖るように突き出します。
頭状花の中心部は数個の両性花をつけ、周囲に多数の雌花が並び、どちらも結実します。
実は1mmほどの痩果(果皮が堅い膜質で、熟すと乾燥し、一室に1個の種子)で、
先端に3mmほどの綿毛をつけます。
頭状花の下には、先が尖った線形の苞葉が3-4枚、放射状に広がってつけます。
根出葉はロゼット状に地面に沿って広がり、花が咲くころも残ります。
葉は長さ2.5~10cmで、細長く、先は少し尖ります。表面は緑色で、裏面は白毛が密生します。
根元からは横に匍匐枝を出し、その先端に新しい株をつけて増えます。
チチコグサの花言葉は、「父親の愛情」。
参照サイト・書籍
Wikipedia チチコグサ
三河の植物観察 チチコグサ
季節の物語 チチコグサ
門田裕一監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」