センダン(栴檀)の白い実

2022年1月27日

冬のセンダンの樹についた実について調べて見ました。センダンの実は、楕円形状の球体で、白~黄色い色をした薄い皮で覆われていて、中には核と呼ばれる木質化した内果皮があり、種が入っています。この果実は有毒ですが、鳥によって被食散布されます。

センダン(栴檀)の白い実

センダンの白い実

たくさんついたセンダンの果実

葉が茂っていたころは気が付かなかったのですが、よく通るダム湖のほとりにセンダンの実がたくさんついていました。

センダンの花は、本年枝の基のほうの葉腋から10~15cmの花序を出し、たくさんの花を咲かせます。

このため、いくつも出た小さな枝の先に果実をつけ、鈴なりとでもいうんでしょうか、見事につきます。

センダンの樹や花、実などについては、記事に書いていますので、詳しくはそちらもご覧ください。

今回は、前回詳しく書けなかった果実について書きます。

センダンは、ヒマラヤ山麓原産の落葉高木で、日本では伊豆半島以西に分布するといわれますが、

庭木、公園樹などに植えられているものが多く、野生化も進んでいると言われます。

日本へは、平安のころには入ってきていたようです。

成長が早いので伐採可能になるまで20~30年くらいと短く、杢目が綺麗なので、耕作放棄地などで植えられている例があります。

私は、鹿の食害にも強いことと、つける果実に関心があり、興味を持っています。

つぎの写真は、国道で見かけたセンダンの樹です。

 

樹全体についた実

これだけたくさんの白から黄い実をつけているので、よく目につきます。

恥ずかしながら、葉を落とし、実をつけた状態なのでこの樹を認識することができました。

葉が青々としげり、実も緑のころは全く気が付きませんでした。

冬は、樹によっては識別するためにいい季節でもあるようです。 以下に、果実について書きます。センダンの実と、中の核など

 

センダンの枝につく果実

 こちらが拾ってきたセンダンの枝です。

枝がたくさんに分岐し、その先に果実がついています。果実はつるつるしていますが、表面に皺が出来ています。

実の外観

種と果肉

道路に実がついた枝が落ちていたので、拾ってきました。実は有毒なので、注意したほうが良さそうです。

写真の果実は楕円形状の球体で、長さ19mm 太さ13mmほどですが、大小があります。表面は光沢があり、薄くて丈夫な皮で覆われています。

右の写真は、果実をつぶしたもので、果肉に包まれた核が見られます。

少し匂いがしますが、きつい匂いではありません。車のワックスだったらこのような匂いがあるかもしれません。

果肉は粘着性ですが、水で洗えば比較的簡単に流れました。

この果肉は、「しもやけ」や「あかぎれ」に生薬として使われていたようです。

家畜が食べると中毒になるようですので、扱うときは気をつけたほうが良さそうです。 取り出した核を洗ってみました。

核の外観

4稜の核

核は、内果皮(子房の内側の皮)が木質化したものですが、中に種子を含んでおり、「核果(かくか)」または「石果(せきか)」と呼ばれます。

核は果実が動物に食べられた際に,種子まで消化されてしまうのを防ぐ役目をしているとのことです。

この核は右の写真のように稜がついています。今回、10個の核を見てみましたが、写真の核は4稜ですが、5稜のものもありました。

調べられたところでは、8稜のものもあるとのことですが、4稜のものがさらに割れるようにして、増えるような感じがします。

この樹の核は、大きいもので長さ18mm、太さ12mmほどでした。

数珠に利用されることがあるとの記事を見かけましたが、少し小さいように思いました。

センダンの種子散布について

この果実は、ヒヨドリなど、比較的大きな鳥によって食べられます。果肉には有毒成分が含まれているのですが、解毒されるようです。

果実が鳥によって食べられ、種が消化されずに排泄されて種子散布されることは、被食散布と呼ばれます。

鳥は果実を食べますが、体重が重くなるのを嫌うため、比較的早く排泄するようです。

このため、親の樹からあまり離れていない場所に散布されます。 このことは、親が育っているのと近い環境の可能性が高いので、実生が育つのに適した環境が期待できるとのことのようです。

樹木の実生は、親木から一定の距離で多くなることがわかっており、ジャンセン-コンネル仮説として説明されています。

実が落下するのは親木近くになりますが、親木の近くは病気が蔓延していたり、発芽密度が高いと小動物が集まってきて食べられるなどで、実生が少なくなり、遠方は散布が少なくなるためとのことです。

参照サイト・書籍

あうるの森 センダンの実の核は何角形?

森林学会要旨 千葉県におけるシカ食害の樹種間差

清和研二著 筑地書館 「多種共存の森

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