ヌルデは7~9月に、花序で大きな白い花を咲かせ、実は10~11月に黄色く熟します。名前は、幹に傷をつけて採った白い樹液を塗料にしたことに由来し、葉がついた軸に翼がつくのが特徴です。ここでは、ヌルデの詳細とハゼノキとの違いについてまとめました。
白い花が咲くヌルデ、ハゼノキとの違い
ヌルデの白い花
8月になり、山ではヌルデの白い花がよく目につきます。
ヌルデはパイオニア(先駆)植物で、伐採後や崩壊地にいち早く生えてくる樹で、よく見かけますが、
いくつもの小さな枝をだし、15~30cmほどの大きな円錐花序になって、5mmほどの小さな花をたくさんつけています。
ヌルデの名前は、樹皮に傷をつけて樹液をとり、塗料にしたことに由来します。
別名に、カチノキ(勝の木)があります。これは、聖徳太子が、蘇我馬子と物部氏との戦いにあたって、ヌルデの木で仏像を作って馬子の戦勝を祈願したといわれていることから、「勝の木(カチノキ)」と呼ばれるようになったとのことです。
また、ヌルデからは、五倍子(ごばいし)あるいは付子(ふし)と呼ばれる生薬をとることができ、工業用のタンニン酸製造の原料として使われてきたとのことです。このため、フシノキとも呼ばれます。
いまは、あまり栽培されていないようですが、昔からよく利用されてきた樹木のようです。
ヌルデの葉
ヌルデは、葉軸に特徴があります。
葉は、奇数羽状複葉で幹に互生してつきますが、写真のように、葉をつけた軸に、翼がついています。
このような形は、あまり見かけることがないと思うので、見分けやすい樹だと思います。(#^.^#)
よくにた樹にハゼノキ(櫨の木)があります。
つぎの写真は、以前とったものですが、同じ奇数羽状複葉ですが、葉軸に翼がなく、光沢もちがっています。
ヌルデの仲間はたくさんあって、見分けるのがむつかしいと思われるので、以下に、違いをまとめました。
ヌルデとハゼノキの違い
ヌルデの近縁種に、同じウルシ科のハゼノキがあります。
両者の違いを、一覧表にまとめました。なお、どちらも雌雄異株で葉は奇数羽状複葉になります。
ヌルデは、花期が7~9月、葉柄に翼があることが特徴です。
ヌルデの近縁種には、ヤマハゼ、ウルシ、ヤマウルシなどがあります。
詳しくは、「葉と枝による樹木検索図鑑 ハゼノキ-ヤマハゼ-ウルシ-ヤマウルシ」などをご覧ください。
ヌルデ | ハゼノキ | |
花期 | 7~9月 | 5~6月 |
実 | 扁平、細毛 | 扁平、無毛 |
鋸歯/全縁 | 鋸歯 | 全縁 |
葉軸 | 翼あり | 無毛 |
ヌルデの基本情報・花言葉
ヌルデ(白膠木)は、東南アジアから東アジアや、日本の北海道から沖縄に自生するウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で、雌雄異株です。
ヌルデの名前は、昔、幹に傷をつけて白い樹液をとって塗料にしたことに由来します。
別名は、フシノキ、カチノキです。フシノキは、五倍子(ゴバイシ)と呼ばれる生薬が採れますが、付子(フシ)とも呼ばれることから、フシノキとなったと言われます。
また、聖徳太子が、蘇我馬子と物部氏との戦いにあたって、ヌルデの木で仏像を作って馬子の戦勝を祈願したいわれていることから、「勝の木(カチノキ)」と呼ばれるようになったとのことです。
学名は、Rhus javanica
英名は、Chinese sumac
花期は7~9月で、枝の先端に、15~30cmの長さの円錐花序になって、白く小さな花をたくさん咲かせます。
実は、直径約4mmの扁球形で、10〜11月にオレンジ色に熟し、塩味がする白い物質(リンゴ酸カルシウム)を分泌します。
葉は互生し、長さ30~60cmの奇数羽状複葉で、小葉は5~12cmの長い楕円形で鋸歯があります。また、葉軸には翼があります。
樹高は5〜6mで、直径10cmほどになります。樹皮は褐灰色で、楕円形の皮目が目立ちます。
ヌルデは、伐採後地や、崩壊地などによく生える、パイオニア(先駆)植物です。かぶれることがあるので、気をつけたほうがよさそうです。
燃やすとパチパチと音がでるため、火を燃やして祈祷する護摩祈祷に使用されてきました。
これはチロースと呼ばれる組織が爆発する音といわれます。チロースは、辺材部が心材部に移行するときにできる組織で、辺材部の導管を閉鎖するための充填体で、風船のような形になるもののようです。(楢原纒著 「神々と植物」)
ヌルデの花言葉は、「信仰」「知的な」「華やか」「壮麗」で、11月27日の誕生花です。
参照サイト
Wikipedia ヌルデ ハゼノキ ヤマハゼ ウルシ ヤマウルシ
e-yakusou.com ヌルデ
かのんの樹木図鑑 ウルシ科の葉
松江の花図鑑 ヌルデ
葉と枝による樹木検索図鑑 ハゼノキ-ヤマハゼ-ウルシ-ヤマウルシ
Chills Laboratory ヌルデ