ウワミズザクラは、4~5月ごろ、白く小さな花を総状に連ねてブラシのような花を咲かせます。実は8mmくらいの球形で、秋に黒く熟し、動物が好んで食べます。古代には、「亀ト(キボク)」と呼ばれる占いの板に使われていたバラ科の落葉高木です。
ブラシのような白い花を咲かせ、実が黒く熟すウワミズザクラ(上溝桜)
ウワミズザクラの白い花
道路沿いにウワミズザクラ(上溝桜)の白い花が咲いていました。
去年は見かけなかったのですが、幸運にも今年は出会うことができました。(^⊆^)
まるでブラシのような大きく白い花が、樹全体にたくさん咲いているので、遠目でもよく目につきます。
花は、緑の葉が出た後に白く咲くため、よく目立っているようです。
夏の終わりごろに黒く熟す小さな実は、動物のエサになりますが、食用などにもされるようです。
写真のように、あちこちの枝の先で長さ15cmほどに細長く伸びた花序になり、
小さな花をたくさんつけているのでブラシのように見えるんですね。
小さな花は、直径が約6mm、花弁は5枚で長さ約3mmの倒卵形で、先はまるくなります。
雄しべは約30個とたくさんつき、花弁より長くつきでています。
ウワズミザクラは、古代に行われていた、亀の甲羅に熱を加えて割れ目で占う「亀ト(キボク)」において、
熱を加えるために使われる溝が掘られた板に用いられ、「上溝桜(ウワミゾザクラ)」と呼ばれていたようです。
それが変化して「ウワミズザクラ」となったといわれます。
バラ科の樹なので、桜の花にもにているので、サクラとつけられたようです。
つぎの写真は、山の樹々の中で咲くウワミズザクラです。
4月の終わりで、周りの樹々の新緑がきれいになってきた時期に咲くたくさんの白い花は、鳥が大群で飛んでいるような感じもして見事です。
ウワミズザクラの実
5月になって、ウワミズザクラに青い実がついていました。
花が終わった後に、花と同じように総状にたくさんつく実は、大きさが8mmくらいで、
未熟の緑の実や花穂は、塩漬にして食用にする地方もあるとのことです。
その後、夏に赤くなり8~9月ごろには黒く熟します。
実は、中に果肉と種がある核果 で、昔から果実酒にされてきたようですが、
ヒヨドリ、ムクドリ、オナガ、キジバトなどの鳥や熊などが好んで食べるようです。(^_^)
ウワミズザクラの幹
ウワミズザクラは、樹高が10~15mになると言われますが、この樹は5mほどでしょうか、まだ若いようです。
樹皮は、平滑で暗紫褐色ですが、横方向の皮目が目立ちます。
また、材は軽くて粘り強いため、版木、彫刻細工などに使われます。
ウワミズザクラの基本情報と花言葉
ウワミズザクラは、石狩川以南から熊本県南部以北に分布するバラ科ウワミズザクラ属の落葉高木です。
名前は、古代に行われていた亀の甲羅に熱を加えたときの割れ目で占う「亀ト(キボク)」で使われていた、
裏に溝が掘られた板を「上溝桜(ウワミゾザクラ)」と呼んでいたものが変化して「ウワミズザクラ」となったとのことです。
古名は、波波迦(ハハカ)
学名は、Padus grayana
英名は、Japanese Bird Cherry
花期は4~5月ごろに、葉が出たあとに咲きます。
花は、新枝の先にのびた長さ8〜15cmの総状花序に白い小さな花をたくさんつけ、花序のしたに葉が3〜5個つきます。
花の直径は約6mmで、花柄の長さは4~6mm。花弁は5個で、長さ約3mmの倒卵形で先はまるくなります。
雄しべは約30個、花弁より長くつきでます。
実は8月ころから、緑、黄色、赤、黒紫と変化し、熟した実は甘くて美味しく、鳥や動物の餌になります。
葉は互生し、長さ6 ~ 9 cm 幅3 ~ 5 cmの楕円形で先が尖り、鋸歯があります。紅葉がきれいと言われます。
樹高は10~15mで、樹皮は暗紫褐色で、皮目があります。
若い実を塩漬けにしたものは「杏仁香(アンニンゴ)」と呼ばれ、不老不死の妙薬と言われます。
また、材は軽くて粘り強いため、版木、彫刻細工などに使われます。
よくにた樹に、本州中部以北に自生するシウリザクラやイヌザクラがあります。
イヌザクラは、花序枝に葉がつかない点が、ウワミズザクラと異なります。
ウワミズザクラの花言葉は、「純粋」「心の美」「純潔」。
参照サイト
Wikipedia ウワミズザクラ
松江の花図鑑 ウワミズザクラ
森と水の郷あきた ウワミズザクラ
GKZ 植物事典 ウワミズザクラ