ヤマネコノメソウは、北海道西南部から九州に分布するユキノシタ科の多年草で、黄色い花を咲かせ、茶色い実をつけます。実の様子が、猫の目ににているとしてこの名前が付けられました。ここでは、よくにた近縁種のネコノメソウとの違いについて書きました。
ヤマネコノメソウの黄色い花と茶色い実、ネコノメソウとの違い
ヤマネコノメソウ(山猫目草)とネコノメソウ(猫目草)の違い
最初に、ヤマネコノメソウ(山猫目草)とネコノメソウ(猫目草)の違いをまとめておきます。
両者はよく似ていて混同しがちですが、葉の付き方やムカゴの有無などが、識別のポイントになります。
ヤマネコノメソウ | ネコノメソウ | |
葉の付き方 | 互生 | 対生 |
花期 | 3~4月 | 4~5月 |
増え方 | ムカゴ | 出走枝 |
生育場所 | 乾燥気味の土地 | 湿地 |
ヤマネコノメソウ(山猫目草)
ヤマネコノメソウの茶色い実
開けた日当たりがいい山の中で、ヤマネコノメソウが実をつけていました。
いくつもの、お椀のような形をした(裂開した)実の中に、茶色いツブツブの種がたくさん詰まっており、
その様子が、猫の目のように見えるとしてヤマネコノメソウという名前がつけられました。
そして、ヤマネコノメソウと「ヤマ」がつけられたのは、近縁種のネコノメソウと区別するため。
この種(タネ)は、実と果皮でつながっていますが、雨に濡れると飛び散るといわれます。
裂開した実の周りには、未裂開の実もみられますが、細長い形で膨らんでいて、今にも割れそうに見えます。
ちなみに、Wikipediaによるとネコノメソウの仲間は、世界で60種、日本で19種あり、そのうち日本固有種は11種類になるそうです。
日本の近縁種については、「PLANTS INDEX JAPAN ネコノメソウの仲間(完全編)」に詳しく書かれています。
ヤマネコノメソウの黄色い花と葉
ヤマネコノメソウは花茎が10~20cmで、その先に直径が4~5mmの薄緑色の花を、6~10個咲かせます。
花の形は、トウダイグサににています。
また、葉は、根出葉が2~7cmで、茎につく葉は長さ5〜20mm、幅8〜30mmで、互生します。
ネコノメソウは、葉が対生するため識別するためのポイントになります。
さらに、ヤマネコノメソウは、花が咲いた後に花茎の根元にムカゴがつき、走出枝はでません。
この点も、ネコノメソウと違う点です。
ヤマネコノメソウの基本情報・花言葉
ヤマネコノメソウ(山猫目草)は、中国、朝鮮半島や日本の北海道西南部から九州に分布するユキノシタ科ヤマネコノメソウ属の多年草です。
学名は、Chrysosplenium japonicum
花期は3~4月で、花柄は高さ5~15cm、柔らかな毛がまばらに生え、その先に、萼片が4枚で基部が黄緑いろの花が十数個つきます。
花が終わると花茎の基部にムカゴができ、縦に割れて褐色で楕円形の種子がたくさんできます。
葉は茎に互生し、腎円形で、長さ1~3cm、縁に7~11個の浅くて先端が平らな鋸歯があります。
ヤマネコノメソウの花言葉は、「気移り」「誠実」「謙虚」。
ネコノメソウ(猫目草)
ネコノメソウの実と花
ネコノメソウは、写真のように、姿、形はヤマネコノメソウとよくにています。
単に花を見るだけでは、区別はつかないのですが、ネコノメソウには、つぎのような特徴があります。
- 湿気の多い場所に生える
- 葉が対生する
- 走出枝(ソウシュツシ)で増える
ネコノメソウの基本情報・花言葉
ネコノメソウ(猫目草)は、南千島から九州北部に分布する日本の固有種で、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。
別名は、ミズネコノメソウ。
学名は、Chrysosplenium grayanum
花期は4~5月、葉は対性し、花の後に走出枝を出してふえます。
葉は対生し、広卵形で長さ5〜20mmで、3〜8対の鈍鋸歯があります。
ネコノメソウの花言葉は、「謙虚」「誠実」。
おわりに
以前からよく目にしていましたが、名前は今回、初めて知りました。
見た目が特徴のある形をしていますが、近縁種が多いことに驚きました。
よく似ていていても、はっきりとした違いがあるのが不思議で面白く感じます。
それぞれが、独自の生きる戦略を取っているのは、多様性によって、
環境変化などがあっても同じ科や種が生き延びることを狙っていると聞いたことがあります。(^_^)
参照サイト
Wikipedia ヤマネコノメソウ ネコノメソウ属 ネコノメソウ ツルネコノメソウ
野の花散歩 ネコノメソウとヤマネコノメソウ
GKZ 植物図鑑 ヤメネコノメソウ
PLANTS INDEX JAPAN ネコノメソウの仲間(完全編)
横浜金沢 ネコノメソウ