クマノミズキは、6~7月に新枝の先に花序で白い小さな花を咲かせ、秋に黒い実をつけます。名前は、三重県熊野地方で発見されたことに由来しますが、本州以南に分布するミズキ科ミズキ属の落葉高木広葉樹です。ここでは、近縁種のミズキとの違いも書きました。
クマノミズキ(熊野水木)の花や葉と、ミズキ(水木)
クマノミズキの白い花
じつは、クマノミズキのことを知りませんでした。
5月に「ミズキに咲く白い花」という題名で記事を書きました。
-
-
ミズキ(水木)に咲く白い花と実
5月の山では、ミズキの白い花をよく見かけます。ヤマボウシなどとと同じころに咲き、小さな花が集まって大きな花序で咲く白い花なので、良く目立ちます。5mmほどの実は、9月ごろ黒く熟します。材は緻密で、家具 ...
その後、6月になって、ミズキにそっくりな花をつける樹を見かけ、違った時期に同じ樹に花が咲いているのかと不思議に思って調べたところ、クマノミズキでした。
クマノミズキは、ミズキと同じミズキ科ミズキ属の落葉高木の広葉樹で、樹形や葉もよくにており、混同しやすい樹ですが、分布域や花の咲く時期、葉の付き方などが違います。
以下、クマノミズキの詳細について述べ、ミズキとの違いをまとめます。
クマノミズキは、ミズキの花が咲き終わって少し後に、写真のような白い花を咲かせます。
遠くからみると、ミズキとそっくりで、同じように見えます。
クマノミズキは、本州以南に分布しますが、三重県の熊野で見つけられたため、この名前がつけられました。
ミズキは北海道を含む日本全土に分布するのに対して、生育する地域は狭くなるようです。
こちらは、すこし近づいてみたクマノミズキの花です。
枝先に、直径8~14cmの散房花序(花柄のついた花が球面上あるいは平面上についたようになる)を出し、小さく白っぽい4弁花を密につけています。
花にはたくさんの蜜を含んでおり、昆虫の蜜源になっているようです。
つぎの写真は近くでみたクマノミズキの花です。
クマノミズキの花序には、このように小さな花がたくさんついています。
写真ではわかりずらいかもしれませんが、花弁が4個、雄しべが4個、花柱が1個ついています。
つぎの写真は、ミズキの花ですが、そっくりで、見分けがつきません。
ミズキの花の詳しい写真はありませんが、クマノミズキと同様、花弁が4個、雄しべが4個、花柱が1個つきます。
クマノミズキの葉
葉については、写真をみていただければわかるかと思います。先ほどの両者の2枚の花の写真を較べてください。
明らかに、クマノミズキの方が、細長いことがわかるかと思います。
また、この写真で葉のつき方を見てください。対生していることがわかります。
この写真は、6月23日に撮影しましたが、花はまだ咲く前の蕾で、これからのようです。
一方、こちらは、クマノミズキに隣接して生えていたミズキの葉です。
このように、葉は、対ではなく互生しています。
こちらの写真は、同じ時期に撮ったミズキの実です。早く咲いただけに、すでに実をつけています。
まだ緑の実で小さいのですが、たくさんついています。
秋になると、5mmほどの実が黒く熟し、鳥や動物のエサになるようです。
クマノミズキとミズキの違い
以上、クマノミズキについて、ミズキとの違いを見ながら詳しく調べました。
最後に、クマノミズキとミズキの違いをまとめておきます。
クマノミズキ | ミズキ | |
分布 | 本州以南 | 北海道から 九州 |
花期 | 6~7月 | 5~6月 |
葉の形 | 卵状長楕円 | 広楕円 |
葉のつき方 | 対生 | 互生 |
クマノミズキの基本情報
クマノミズキ(熊野水木)は、アフガニスタン、ヒマラヤ、中国、台湾、朝鮮半島や、日本の本州以南に分布するミズキ科ミズキ属の落葉高木広葉樹です。
名前は、三重県熊野地方で発見されたミズキという意味ですが、東アジアや、本州以南でも見られます。
また、ミズキ(水木)の名前は、葉の出る前に枝を折ると、水がたくさん出てくるためにつけられました。
学名は、Swida macrophylla
英名は、Large Leaf Dogwood
花期は6~7月で、新枝の先に、直径8~14cmの散房花序をつけます。花は白色の4弁花で、昆虫の蜜源になります。
実は、5mmほどの球形で、10~11月ごろ黒く熟します。
葉は、長さ1~3cmの葉柄があって対生し、卵形または楕円形で先端は長い鋭尖頭になり、縁は全縁です。
葉は長さ6~16cm 幅3~7cmで、裏面はやや粉白色になります。
樹高は8~12mで、幹の直径は40cmほどになります。
クマノミズキの花言葉
花言葉は、「忍耐力」。
参照サイト・書籍
庭木図鑑 樹木ペディア クマノミズキ
project works 知恵袋 クマノミズキ
池田書房 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑」