神事に使われるサカキ(榊)と、仏事に使われるシキミ(樒)の違い

2020年2月24日

サカキ(榊)は神事に使われ、シキミ(樒)は仏事に使われ、よくにています。主な違いは、サカキは葉が枝に扁平状について先が鎌状に尖り、秋に黒い実をつけます。一方、シキミは葉が枝の先端に集中してつき、ちぎると匂い、実は扁平な集合果で有毒です。

神事に使われるサカキ(榊)と、仏事に使われるシキミ(樒)の違い

サカキとシキミの使われ方

サカキ

シキミ

両者とも山などで、林産物として栽培されています。

シキミはシキミ科の常緑樹で濃い緑いろの葉をつけ、お墓や仏壇などの仏事に用いられます。

一方、サカキ(別名:ホンサカキ、マサカキ)は、神棚や祭壇に供えられたり、神前に捧げられる玉串など、神事に用いられます。

このため、神社にもよく植えられているようです。

どちらも常緑小高木なので、一年を通じていつも青々とした葉を付けており、

年を通してほぼ同じ状態でお供えすることができますが、よくにた葉なので、混同されがちです。

シキミとサカキの特徴と違い

葉の特徴

葉の形やつき方は、2枚目の比較写真をご覧ください。葉の形は両者とも楕円形状で枝に互生し、先が尖っていますが、

サカキは、葉は枝全体に平面状に互生し光沢があります。また、平面状になっているため、玉串としておいた時に、安定しておくことができます。

一方、シキミは枝の先端の周りに集まって付きます。そして、シキミの葉をちぎると匂いがするのが特徴で、サカキにくらべて光沢は少なめで、全身にアニサチン、イリシンなどの有毒成分を持っています。

また、サカキの特徴として、春先の若葉が、つぎの写真のように枝先で巻いて鎌状になって尖ることがあげられます。

神様がこの部分に降り立つ依り代と考えられてきたようです。

サカキの枝先の尖り

花の特徴

両者の違いは、花の咲く時期や、花の形にあります。

すなわち、

シキミの花期は3~4月で、花は細長い花弁が広がって10~20個つき、黄白色。雄しべは20個ほどつきます。

サカキの花期は6~7月で、花は広がらず釣鐘状で白く、枝の基部に2~3個集まって下向きにつきます。

それぞれの花を、並べてみました。花をみると一目で違いが判ると思います。

実の特徴

両者は、実をつける時期も形も違っています。

シキミは、花が終わる4月ごろ、平な8角形状の集合果をつけ、9月ごろ茶色く熟します。

一方、サカキは、7月ごろに直径7~8mmの球形の実をつけ、12月ごろに黒紫に熟します。

つぎの写真をみていただくと、よくわかるかと思います。

なお、シキミの実は、中華料理に使われる八角の実ににているので、間違えないように注意する必要があります。

サカキの実

シキミの実

サカキとシキミの違い一覧

両者は、以上のような違いがありますが、他にもつぎのような違いがあります。

シキミは有毒ですが、サカキには毒性がありません。このため、シキミは獣害を受けませんが、サカキは獣害を受けます

また、サカキは無臭ですが、シキミ葉や樹を切ると独特の匂いがします。

この現象は、年間を通じて変わらないので識別の確実な方法だと思います。

可能であれば、葉を少しちぎって匂いを嗅げば確認できます。

以上の点をまとめると、つぎの表のようになります。

サカキとシキミの違い
  シキミ サカキ
葉のつき方 枝先に集中  枝に平面状
葉をちぎった匂い 芳香 無臭
花の形 細長い花弁が広がってつく 卵形の花弁で釣鐘状につく
花期 3~4月 6~7月
果実 茶色い扁平な集合果 黒い小さな実 
毒性 有毒 無毒

慣れない場合は、識別に苦労するかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。(^⊆^)

仲間のヒサカキについて

なお、サカキは関東以北では分布していないため、仏事や玉串にヒサカキ(非榊)などが用いられるとのことです。

近畿地方では、お墓にヒサカキ(ビシャコ)が供えられる地域があります。

ヒサカキの葉

ヒサカキも常緑小高木で、黒い実を付けますが、葉に鋸歯がある点が特徴です。

なお、サカキとヒサカキの違いについては、べつの記事にしていますので、こちらもご覧ください。

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基本情報・花言葉

サカキ

サカキは、済州島、台湾、中国と、日本の茨城県・石川県以西の本州、九州に分布すると言われ、

モッコク科サカキ属に常緑小高木です。

サカキの名前は、神と人の境の木であるとして、「境木(サカキ)」とされたことによるとされます。

」という文字は平安時代に日本で会意で形成された国字。(Wikipediaより)

また、ヒサカキなどと区別するため、「本榊」とも呼ばれ、神事に用いられます。

サカキの花言葉は、「控えめな美点」「揺るがない」「神を尊ぶ」で、12月26日の誕生花です

シキミ

シキミは、中国、台湾、済州島や日本の宮城県・石川県以西に分布すると言われ、マツブサ科シキミ属の常緑小高木です。

有毒植物ですが、実の形が中国料理に使われる八角ににているため、注意が必要です。

地方によって、「コウノハナ」、「コハナ」、「ハナノキ」、「コウノキ」「コウシバ」などと呼ばれているようですが、仏事に用いられます。

花言葉は「猛毒」。

ヒサカキ

ヒサカキは、日本の本州以南に分布すると言われ、モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木です。

ヒサカキの名前の由来は、サカキでないために「非榊」とした、葉が小さいので「姫サカキ」からヒサカキ、などの説があるようです。

地方によって、「ビシャコ」、「ビシャ」、「ヘンダラ」、「ササキ」などと呼ばれるとのこと。

仏事や神事に用いられることがあるとがあります。

ヒサカキの花言葉は、「神を尊ぶ」で、12月26日の誕生花です

おわりに

神事に使われるサカキと、仏事に使われるシキミの違い、をまとめました。

また、サカキやシキミの代用として使われることがある、ヒサカキについても書きました。

よく似た葉をしているので、慣れていないとよく間違えます。

神様や仏様に笑われないように気をつけたいものですね。(*^m^*) 

参照サイト

Wikipedia サカキ シキミ ヒサカキ

HORITA サカキ

弥生おばさんのガーデニングノート 「花と緑の365日」 シキミ

GreenSnap ヒサカキ

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