勝利の象徴にされるゲッケイジュ(月桂樹)

ゲッケイジュは、古代ギリシャでは競技の勝者に月桂樹の枝葉で作った冠が贈られ、勝利の象徴とされてきました。日本へは明治38年ごろにフランスから渡来したクスノキ科の常緑高木で、葉を傷つけるといい香りがし、料理にも使用されています。

ゲッケイジュ(月桂樹)の白い花

ゲッケイジュの花

ゲッケイジュの白い花(大阪公立大学附属植物園 2023年4月)

いまも、陸上競技の勝者の頭に飾られるゲッケイジュの冠をよく見ますが、

これは古代ギリシャに遡ります。

もともとは、ギリシャ神話に登場する太陽神アポロンの聖木とされ、

あがめれ、冠は勝利や栄誉の象徴とされてきました。

和名でゲッケイジュと呼ばれるのは、

中国名の月桂樹を音読みしたものですが、

これは中国の永遠の命を象徴する桂の木が月にあるとの伝説に由来するといわれます。

クスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木で雌雄異株で

花は4~5月に咲き、葉腋からでた花序に直径1cmほどの白い花を咲かせます。

雄花には、雌しべはなく、先端が黄色い雄しべが8~12本とたくさんつきます。

写真の花は、雄しべが目立つので、雄株のように思われます。

雌株には雌しべが1個つき、雄しべは退化していますが、

直径1cmほどの楕円状の実をつけ、秋に黒く熟します

たくさん咲くゲッケイジュ

こちらは、少し離れて撮ったものですが、

たくさん上方向に伸びた枝にたくさんの葉がつき、そこに花序になって花が咲いています。

花言葉は、「栄光」「栄誉」「勝利」「輝ける未来」などがあります。

冠にもされるだけあって、いい花言葉がつけられています。

冬につけた蕾(2025年2月)

こちらは、2月の蕾の様子です。

丸く小さなボールのようなかわいいツボミが枝いっぱいについており、

暖かくなるのを待ち構えています。

そして、4~5月に花が咲いた後、雌株には細長い楕円状の実をつけます。

ゲッケイジュの実

秋になって熟した実は黒くなり、

乾燥して粉末にしたものは健胃薬として利用されてきました。

ゲッケイジュの葉

ゲッケイジュの葉

ゲッケイジュを近くから見上げると、

このようにたくさんの枝が、勢いよく上に伸びています。

葉は長さ5~12cm 幅2~5cmほどの大きさ、長楕円形で両端が尖り、枝に互生しています。

そして、革質で硬く、深緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色になります。

葉の縁は波状で、若葉には細かな鋸歯がみられます。

このようにきれいな緑の葉を一年中つけるのも、

勝者に贈る冠の材料の条件の一つになっているんだろうと思います。

ゲッケイジュの樹

こちらの樹高は、10mほどでしょうか。

ご覧のように、根元からいくつもの幹が伸びる株立になっています。

株立ちをするのもこの樹の特徴です。

古代ギリシャの時代から聖なる樹として扱われてきたゲッケイジュ、こんごもこの役割をはたしていく大切な樹だと思います。

ゲッケイジュの基本情報・花言葉

ゲッケイジュ(月桂樹)は、地中海沿岸原産のクスノキ科ゲッケイジュ属の常緑高木で雌雄異株です。

日本へは、明治38年ごろフランスから渡来しました。

中国では、永遠の命を象徴する桂の木が月にあるとの伝説があり、

常緑性で葉に香りのあるこの樹を、月桂樹と名づけたといわれます。

別名は、ローレル、ローリエ、ベイリーブスなど

学名は、Laurus nobilis

ケルト語のlaur(緑色)と、ラテン語のnobilis(気品のある、立派な)に由来します。

英名は、bay leaf、Laurel

bay leafは、沿岸地域に分布する木の葉であるとして命名。

Laurelは、いずれもゲッケイジュを意味する、ラテン語のLaurus(ローラス)や古フランス語のlaurier(ロリエ)に由来。

花期は4~5月で、葉の脇から伸びた短い花序に直径1cmほどで、

花びらが4枚の小さな花が垂れ下がって咲きます。

雄株に咲く雄花には雄しべが8~12本あり、黄色い葯が目立ちます。

雌株に咲く雌花は雄花よりも小さめで、1本の雌しべと退化した4本の雄しべがつきます。

そして、雌株には直径10mm前後の楕円形の果実ができ、

10月頃に光沢のある黒紫色に熟します。

葉は長さ5~12cm 幅2~5cm、長楕円形で両端が尖り、枝に互生します。

革質で硬く、深緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色になります。

葉の縁は波状になりますが、若葉には細かな鋸歯がみられます。

樹高は9 ~12mで、幹の直径は30cmほどになりますが、株立ちになりがちです。

樹皮は黒灰色で、皮目が見られますが、表面は平滑です。

古代ギリシャでは、競技の勝者に月桂樹の枝葉で作った冠(=月桂冠)を贈る習慣があり、

また、ローマ帝国ではシーザーが戦勝を記念して月桂冠を被ったことなどから、

現在でも勝利や栄誉の象徴とされます。

葉を傷つけると果物のような香りがし、

健胃の効果があるなどから料理にも使用され、

クッキングハーブとも呼ばれます。

花言葉は、「栄光」「栄誉」「勝利」「輝ける未来」などで、

2月16日、2月28日の誕生花です

参照サイト

Wikipedia ゲッケイジュ

庭木図鑑 樹木ペディア ゲッケイジュ

花言葉-由来 ゲッケイジュ

茂木透・石井英美著 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑3 樹に咲く花

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