冬のユリノキ(百合の木)につく実や冬芽

2023年1月16日

12月に見たユリノキ(百合の木)は、葉をすっかり落とし、ほとんどが種を落した殻をたくさんつけており、枝の先には冬芽も見られます。ハンテン(半纏)のような形の葉をつけ、5~6月にチューリップのような形の白い花を咲かせる、ユリノキの冬の様子を見てみました。

冬のユリノキ(百合の木)につく実や冬芽

ユリノキの実

ユリノキの実

こちらのユリノキ(百合の木)は、大阪公立大学植物園で撮らせていただいたものです。

高さは20mほどあるでしょうか、大きな樹で、枝にたくさんの実がついていました。

ユリノキ(百合の木)は、北アメリカ東部原産のモクレン科ユリノキ属の落葉高木広葉樹です。

原産地では、60mに達するものもあるとのことですが、日本では30mほどにとどまるようです。

また、数千年前には日本でも自生していたとされますが、現在日本に生えているものは、明治の初めに渡来したものがもとになっているようです。

写真は12月初めに撮ったものですが、葉をすっかり落とし、冒頭の写真のように、たくさんの実をつけていました。

ユリノキの実は、翼をつけた実がたくさんあつまった集合果で、松笠のようにかたまっています。

実はほとんどが風に飛ばされてしまっていましたが、写真のものは、残っていました。

中心に軸があり、その周りに翼をつけた細長い実が縦方向に密に並んでついており、その外側はたくさんの短冊状の殻で囲まれています。

見た目は松かさとにているようですが、構造的には大きく違っています。

つぎの写真は、実がすべてなくなった殻だけのものです。

実が落ちた後の殻

この中にびっしりと実が詰まっていたはずですが、殻だけになって樹についています。

多くがこのように、殻だけになっているようでした。

中に入っていた実はつぎのようなものです。

ユリノキの実

根元に種が収まって膨らんでいますが、ながい翼がついており、風にのって飛ばされます。

実の大きさは、長さ2~3cm 幅5mmほどでしょうか、どんなふうに飛ぶのか、ことしは見てみたいものです。

この実は、ヤマガラが好物にしていて、実を上手に引き抜いて食べるそうです。(^_^)

なお、森林技術・支援センター の発表によると、ユリノキの実は、発芽率は3%ほどとのことで、発芽しにくい樹木のようです。

ふと枝を見ると、冬芽(トウガ)をつけていました。

ユリノキの冬芽

灰色をした小さなツボミのようなものですが、いまから着々と準備をしているようです。

ユリノキの芽生えは3月下旬ごろのようですが、その時はここから若い葉が飛び出してくるはずですね。

外から見ているだけではわかりませんが、この中には、飛び出す葉や芽が準備されており、

どのような順番で、どのような形で展開するかプログラムされています。

その様子は、「自然観察ブログ 冬芽の展開(2)ユリノキ」に詳しく解説されています。

冬のユリノキ

こちらが、ここのユリノキです。

太さは1m 高さは20mぐらいでしょうか、大きく育った高い樹ですが、

低い場所にも枝があり、垂れ下がっているので、都合よく実を手に取ることができました。

ユリノキの実

このように、枝にたくさんの実がついています。

花は5~6月に咲きますが、きれいな花が、これほでたくさん咲くと壮観でしょうね。

ユリノキの花や葉

ユリノキの花

こちらは、素材サイトから借用したユリノキの花です。

実からは想像できないきれいな花ですが、花の直径は5~6cmで、緑白色の萼片が3枚つき、6枚ついた黄緑いろの花びらの根元にはオレンジいろの斑紋がついています。

カップ状になって上向いて咲く様子は、なんとも言えず、きれいで華やかな花だと思います。

花言葉は、「見事な美しさ」「幸福」「田園の幸福」で、5月18日、8月17日の誕生花です。

大きくて、きれいな花にふさわしく、いい花言葉がつけられています。

ユリノキの葉

こちらがユリノキの葉です。

おもしろい形ですが、長い葉柄の先についていて、大きさは縦横とも6~18cmで、4~6裂しています。

この形がハンテン(半纏)ににているとして、ハンテンノキとも呼ばれます。

冬のユリノキは地味ですが、特徴のある実や冬芽をたくさんつけて楽しませてくれます。

ユリノキの基本情報・花言葉

ユリノキ(百合の木)は、北アメリカ東部原産で、モクレン科ユリノキ属の落葉高木広葉樹です。

数千年前には日本でも自生していたとされますが、現在日本に生えているものは、明治初年に渡来したものと言われます。

ユリノキの名前は、学名の「Liriodendron」を訳したもので、ギリシア語のユリ「Lirion」と樹木「dendron」を合成したもので、花の構造がユリににていることからつけられたといわれます。

別名は、ハンテンボク(半纏木)。葉の形が半纏のような形だとしてつけられました。

このほかに、チューリップノキ、レンゲボク(蓮華木)、グンバイボク(軍配木)などがあります。

学名は、Liriodendron tulipifera

英名は、tulip tree 

花期は5~6月で、枝の先に直径5~6cmほどのチューリップににた花を、上向きに咲かせます。

花被片は9個で、外側の3個は緑白色の長い楕円形状で萼片状、内側の6個は黄緑色で根元がオレンジの斑紋がつきます。

実はたくさんの翼果があつまって松笠状になった集合果で、10月ごろに熟します。

葉は互生し、ハンテン(半纏)のような形で、4~6つに浅裂します。

大きさは、縦横とも6~18cmで、3~18cmほどの長い葉柄がつきます。

樹高は30mほどになり、樹皮は灰褐色で、浅く縦方向に裂けます。

公園樹や街路樹に植えられますが、材は建築材やパルプ用材に使われます。

ユリノキの花言葉は、「見事な美しさ」「幸福」「田園の幸福」で、5月18日、8月17日の誕生花です。

参照サイト・書籍

Wikipedia ユリノキ

庭木図鑑 樹木ペディア ユリノキ

sambuca ユリノキの実と花、モクレン科の旅(春の香りを待ちながら)

森林技術・支援センター 青山岳彦 「早生樹ユリノキの成長と更新特性について

Chills Laboratory  ユリノキ

高橋秀男校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑

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