秋から冬に白い花が咲き、春に実が黒く熟くすヤツデ(八手)

2022年12月4日

ヤツデは、秋から冬にたくさんの小さな白い花を咲かせて昆虫に蜜を提供し、春に実が黒く熟すと鳥が食べて種が散布されます。大きな手のような葉を持って日陰に強く、庭木や公園樹などに植えられます。ウコギ科の常緑低木で、茨城県以南の太平洋側から沖縄に自生します。

秋から冬に白い花が咲き、春に実が黒く熟くすヤツデ(八手)

ヤツデ(八手)の白い花

ヤツデの花(2022年11月26日)

ヤツデ(八手)は、11~12月に写真のような小さな白い花をたくさん咲かせます。

上に長く伸びた茎が枝分かれし、その枝の先端にボンボリのような花序(散形花序)になって、たくさんの花を咲かせていますが、

枝分かれした枝は、上部が短くなっており、全体の形は円錐状(円錐花序)になります。

花は、枝の先端に両性化が咲き、そのしたの小枝には開いていない雄花が対になってついています。

枝先についた両性化を拡大して見てみました。

ヤツデの雄花(2022年11月26日)

花の直径は5mmほどで、5枚の白い花びらは、少し反り返っています。

ヤツデは、ちょっと変わった花の咲き方をします。

花には、雄しべが5本ついており、長く飛び出した雄しべの先につく葯がよく目立ちます。

雌しべは雄しべが落下した後に出てきて、昆虫によって運ばれる他の花の雄しべの花粉で受粉します。

ヤツデの雌花(2022年12月5日)

こちらが、後日撮った雌花です。雄しべが落下した後に、5本の雌しべがついています。

このように雄花と雄花が咲く時期が変わるのは、近親交配をさけていると考えられているようです。

ヤツデは、花が少ない11~12月に咲くため、蜂やハエなどの昆虫にとってはいい蜜源になります。(^O^)

たくさん咲くヤツデの花

このヤツデは、道路沿いに植えられていて、株立ちになって大きく育っています。

たくさんの葉の間から上に伸びた白い茎と、たくさんの白い花がよく目立ち、元気です。

花言葉は、「分別」「健康」「親しみ」で、12月13日、12月27日の誕生花です

「分別」は、花が雄しべを先につけ、雄しべが落ちたあとに雌しべを出して他の花の花粉で受粉することから、

「健康」は、冬にも艶のある葉を落とさない元気な様子から、

「親しみ」は、古くから日本人に親しまれてきたことに由来すると言われます。(^_^)

ヤツデ(八手)の黒い実

ヤツデの若い実(2021年2月16日)

こちらは昨年の写真ですが、2月になると、公園のヤツデ(八手)に実がついていました。

12月ころに咲いた花序が、そのまま実に変わったようにたくさんついています。

実の先端から伸びているのは、雌しべのあとでしょうか。

実は、中に果肉が入った液果で、直径は7mm前後。

熟しはじめた実

この実には5個の種が入っていて、4~5月になると、黒っぽく熟します

熟した実は、メジロなどの鳥が食べて、種が散布されます。

以前この種を少しもらってまいたことがありますが、よく発芽しました。

ヤツデの種は、よく発芽すると言えそうです。(^_^)

ヤツデ(八手)の葉

ヤツデの葉の付き方

ヤツデの葉は、この樹を象徴する形をしています。

葉の形はほぼ円形ですが、掌状になり、先端は7~11枚ほどに分かれます。ただ、名前がヤツデ(八手)となっていますが、7や9枚にわかれることが多く、8つに分かれることは少ないと言われます。

ヤツデと名づけられたのは、8が末広がりでめでたいことと、8によってたくさんあるという意味を込めたため、とのことです。

実際には7つや9つに分かれることが多いのですが、縁起がいい8にしたということのようです。なるほどですね。 *(^o^)*

別名はテングノハウチワ(天狗の羽団扇)、たしかに天狗が持っている団扇を連想しますね。

ヤツデの葉は、20~40cmほどの長い葉柄をもち、茎に輪生または互生しており、

この特徴のある葉を見れば、ヤツデであることはすぐわかりますね。

9つに分かれたヤツデの葉

葉の直径は20~40cmくらいで、厚みがあり、縁にはゆるい鋸歯がついています。

大きくて厚く、たくさんに分かれてごつごつしているので、近くでみると存在感があります。

葉を乾燥したものは、去痰の効果があり、葉を刻んで風呂にいれるとリウマチに効くと言われ、人の健康の役にもなってきたようです。(Wikipediaより)。

ヤツデの新芽

こちらは、春に出てきたヤツデの新芽です。

出てきたばかりは、小さく軟らかそうで可愛いですね。

若い葉は最初は卵形で、その後3裂し、しだいに裂数を増やし、大きくなります。

寒い冬にたくさんの白い花を咲かせる逞しいヤツデ、頼もしいと思います。

ヤツデの基本情報・花言葉

ヤツデ(八手)は、日本原産のウコギ科ヤツデ属の常緑低木で、茨城県以南の太平洋側から沖縄に分布します。

日陰でも育つ陰樹なにで林の中でも自生しますが、庭木や公園などに良く植えられています。

ヤツデ(八手)の名前は、葉の先が掌状に7か9の奇数に分かれますが、縁起のいい八を用いて、名づけられました。

別名は、テングノハウチワ(天狗の羽団扇)。葉が天狗が持っている羽団扇ににていることにちなむと言われます。

学名は、Fatsia japonica

英名は、Japanese Aralia

花期は11~12月で、小さな白い花がボンボリのような丸い花序(散形花序)になって咲き、この花序が茎にたくさんついて全体が円錐状(円錐花序)になります。

個々の花は白く、直径が5mmほどで、花弁が5枚、雌しべと雄しべが5本つきます。

実は直径7〜10mmの扁平な球形で内部が多肉質の液果で、翌年の4〜5月に赤褐色から黒紫色に熟します。

葉は、直径20~40cmほどと大きくて厚く、深く切れ込んだ掌状になって7~9枚に分かれ、縁に緩い鋸歯があります。

20~40cmほどの長い葉柄を持ち、茎に互生、あるいは輪生します。

若い葉は最初は卵形ですが、その後3つに分かれ、しだいに数を増やして7~9個の奇数に分かれます。

樹高は1~3mで、株立ちします。樹皮は灰褐色で、茎の上部には葉痕皮目(ヒモク)が見られます。

葉を乾燥させたものは去痰の薬効があると言われ、生薬として使われますが、葉にはサポニンが含まれているため、過剰に摂取すると下痢や嘔吐を起こすことがあるとされます。また、乾燥した葉をお風呂にいれると、リウマチや痔に効くと言われます。

また、葉が末広がりになるため縁起がいいとされ、古くは魔除けの効果があると考えられていたとされます。

また、ヤツデには白や黄色の斑が入ったものや、葉が波打ったものなど、たくさんの栽培品種や変種があります(Wikipedia ヤツデ)。

ヤツデの花言葉は、「分別」「健康」「親しみ」で、12月13日、12月27日の誕生花です

「分別」は、花が雄しべを先につけ、雄しべが落ちたあとに雌しべを出して他の花の花粉で受粉することから、

「健康」は、冬にも艶のある葉を落とさない元気な姿から、

「親しみ」は、古くから日本人に親しまれてきたことに由来すると言われます。

参照サイト・書籍

Wikipedia ヤツデ

季節の花 300 ヤツデ

みんなの趣味の園芸 ヤツデ

Green Snap ヤツデ

日本薬学会 ヤツデ

高橋秀男校閲 池田書店 「葉っぱ・花・樹皮でわかる樹木図鑑

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