イケマ(生馬)は、日本全土に分布するつる性の多年草で、7~8月に、丸い花序になって白い小さな花を咲かせます。名前は、アイヌ語の「巨大な根」や「神の足」を意味し、有毒植物ですが、アイヌでは、呪術や薬用、食用に利用されてきたと言われます。
丸い花序になって咲く、イケマ(生馬)の白い花
イケマの花
林道を走っていて、丸い花序になって咲く白い花を見かけました。
調べたところ、イケマ(生馬)と呼ばれる、つる性の多年草で有毒植物でした。
イケマという名前は、アイヌ語で「大きな根」や「神の足」という意味があり、
昔からアイヌの人々によって、呪術や薬用・食用に利用されてきたと言われます。
長く伸びたツルについた葉の腋から6~10mcほどの茎を伸ばし、
写真のように、直径2~4cmほどの丸い花序になって、6~8mmほどの小さな白い花を咲かせています。
花序は、一点から花柄を伸ばしてたくさんの花が咲く散形花序という形で、10数個の星のような形の花をつけています。
あまり目立たない花ですが、長く伸びた茎のあちこちに咲いています。
こちらが冒頭にも載せた、イケマの小さな花を拡大したものです。
白く先が尖り、少し内側に湾曲した5枚の花びらのようなものが見えますが、
こちらは副花冠と呼ばれるもので花冠(花びら)ではないとのことです。
理由はよくわからないのですが、花びらは、その下にみえる薄緑のものになるそうです。(^ ^;)
花が咲く前の、ツボミだけの花序もついていました。
こちらは、20個前後ついているでしょうか、丸く白いツボミがたくさんついており、
花が咲く前の姿も可愛いと思います。(^_^)
花が終わった後は、長さ8~10cm 幅1cmほどの細長い袋果が付き、種子には毛が生えて絹糸状になり風で飛ぶそうです。
今回は袋果は撮れませんでしたが、詳しくは「三河の植物観察」に掲載されています。
イケマの茎や葉
こちらは、今回見たイケマのツルと葉です。
近くに巻きつくものが無いため、地面にそって伸びています。
葉は、長く伸びた茎に対生し、長さ5~15cm 幅4~10cmのハート形で先が尖っており、縁に鋸歯は見られません。
イケマは有毒なのですが、アサギマダラの幼虫が好んで食べるそうです。
あまり気持ちのいいものではないですが、こちらがアサギマダラの幼虫です。
きれいな姿で飛ぶアサギマダラからは想像できない姿ですが、
アサギマダラはイケマの葉の裏に卵を産み付け、
卵が孵化して幼虫になると有毒なイケマを食べて育つそうです。
一説には、幼虫は有毒成分を体内に蓄積し、鳥に食べられるのを防いでいると言われているです。( Wikipedia イケマ )
昆虫がそこまでのことをしているとは、驚きですね。
最後は、地面を這って伸びるイケマの様子です。
イケマの根はゴボウのように太くなり、茎は蔓状で3~4mほどの長さに伸びると言われます。
ここでは、写真のように、あちこちに花をつけて元気に育っているのが見られました。
イケマの基本情報・花言葉
イケマ(生馬)は、サハリンや日本全土に分布するキョウチクトウ科イケマ属のツル性多年草です。
名前のイケマは、アイヌ語で、「巨大な根」や「それ(神)の足」を意味すると言われます。
アイヌの人々は、イケマを古くから呪術や、薬用、食用になどに用いてきたとのことです。
学名は、Cynanchum caudatum
花期は7~8月で、葉腋から伸びた6~10cmの花柄の先に、直径2~4cmほどの丸い散形花序で小さな白い花をたくさん咲かせます。
花の直径は6~8mm、花冠は6mmほどの大きさで黄緑で、5裂して反り返ります。
また、その内側に4mmほどの白い副花冠がつきます。
花の後には、長さ8~10cm 幅1cmほどの細長い袋果が付き、種子には毛が生えて絹糸状になり風で飛ばされます。
葉は茎に対生し、長さ5~15cm 幅4~10cmのハート形で先が尖り、縁に鋸歯は見られません。
根はゴボウのように太くなり、茎は蔓状で3~4mほどに長く伸びます。
イケマは、シナンコトキシンと呼ばれる有毒物質を含み、茎を切ると白い汁(乳液)が出ます。
誤って食べると、嘔吐や痙攣(ケイレン)を起こすことがあると言われます。
ただ、蝶のアサギマダラは、イケマの葉の裏に卵を産み付け、孵った幼虫は葉を食べて育つと言われます。
これは、イケマの有毒成分を体内に蓄えて、鳥などに食べられるのを防ぐためとの説があります。
イケマの花言葉は、「怖いもの知らず」。
参照サイト・書籍
Wikipedia イケマ
三河の植物観察 イケマ
松江の花図鑑 イケマ
アイヌと自然デジタル図鑑 イケマ
高村忠彦監修 日本文芸社 「季節の野草・山草図鑑」