木製品や爪の研磨に使われてきたトクサ(砥草、木賊)

2022年8月12日

トクサ(砥草、木賊)は、茎が木工品などの研磨や、爪を磨くのに使用されてきたと言われます。茎は中空で枝分かれせずに真っすぐ伸び、ケイ酸を含んで硬いため、研磨に利用されてきました。日本では北海道から中部地方に自生するトグサ科の常緑シダ植物です。

木製品や爪の研磨に使われてきたトクサ(砥草、木賊)

土筆のようなトクサの花

古くなったトクサの胞子嚢穂

8月に撮ったトクサ(砥草、木賊)の胞子嚢穂(ホウシノウスイ、胞子葉がたくさん集まって穂状になったもの)です。

ツクシ(土筆)にそっくりな形ですが、トクサはツクシの仲間で、同じトクサ科トクサ属のシダ植物だからのようです。

ツクシは食べられますが、トクサは残念ながら、堅くてとても食べられません。

食べられないのですが、トクサは有能でいろんな使われ方をしてきたようです。

茎にケイ酸という物質を含んでいて硬いので、木工品の仕上げ用の研磨や、爪を磨くのに使われてきたようです。

高級ツゲ櫛や木工品の研磨には今も使われていると言われますが、滝廉太郎はこれで爪をよく磨いていたと言われます。(^_^)

話を胞子嚢穂に戻します。

写真では黒い点々がたくさんついていますが、胞子は散布されてしまっているのだろうと思います。

トクサの胞子嚢穂

こちらは黄色い胞子嚢穂ですが、若いもので胞子を放出する前のもののようです。

トクサは、このように胞子を放出しますが、地下茎をよく伸ばし、

そこから枝分かれすることなく、1mほどのまっすぐな茎を上に伸ばします

トクサは今までもよく見ていたのですが、先端にこのような胞子嚢穂がつくことは気が付きませんでした。

花言葉は、「率直」「非凡」で、9月25日の誕生花です

茎が枝分かれすることなくまっすぐのびるので「率直」、研磨などに利用されて来たことから「非凡」とされたと言われます。

トクサの茎

トクサの節

こちらがトクサの茎で、節の部分を撮ったものです。

ご覧のように、茎の表皮には縦方向の筋が見られ、ざらつきます。

茎は5~7mmの太さで、竹のように中が空になっていてます。

写真のように、間隔を置いて節がついており、引っ張ると節の部分で抜けます。

秋に刈ったトグサを熱湯で処理し、乾燥させると柔らかく使いやすくなり、

紙やすりが普及した今でも、いろんなものの研磨に使われているようです。

名前のトクサ(砥草)は、研磨に使われたことをそのままを表していますが、

モクゾク(木賊)と呼ばれる生薬として使われ、「木賊」と書いてトクサと読むこともあるようです。

別名にハミガキクサ(歯磨草)があります。

トクサは、北半球に広く分布していますが、日本では北海道から中部地方に自生しているとされます。

ここ奈良県では家の近くなどに植えられたり、鉢植えにされているのをよく見かけます。

地下茎で増えるトクサ

ここは道路沿いの空き地で繁殖しています。

トクサは、地下茎が伸び、その先から茎を出すため、このようにたくさん生えてきます。

草丈は80~100cmほどで、あまり大きくならず、独特の形が好まれるからでしょうか、

庭園などの水辺などにも植えられるようですが、切り花としても使われるようです。

トクサの根元

根元をみると、このようにたくさんの茎が生えているのが見られます。

場所が良ければこのように元気に育つようですが、乾燥にはあまり強くないようです。

何気なく見ていたトクサ(砥草)ですが、今回、いろんなことに使われてきた植物であることを知りました。

本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。(*^m^*) 

トクサの基本情報・花言葉

トクサ(砥草、木賊)は、北半球の亜寒帯南部から温帯北部の広い地方に分布し、日本では北海道から本州中部の湿気の多い場所に自生するトクサ科トクサ属の常緑性シダ植物です。

春の山菜として知られるツクシも同じトクサ科トクサ属になります。

名前は、茎の表面に縦方向のスジがはいり、ケイ酸が蓄積して硬くなるため物を研ぐことができることに由来します。

茎を乾燥したものは、煎じて飲むと目の充血や涙目に効くとされ、モクゾク(木賊)と呼ばれる生薬として利用されてきました。

別名は、ハミガキグサ(歯磨草)。茎で葉を磨いたことに由来するようです。

学名は、Equisetum hyemale

英名は、scouring rush 、 horsetail

花期は7月ごろで、直立した茎の先端にツクシの胞子のような細長い2~2,5cmほどの胞子嚢穂をつけます。

葉はほとんどありませんが、黒い節の部分に退化した鞘状の葉がつきます。

地下茎が伸びて広がり、方々から草丈80~100cmほどで、5~7mmの太さの地上茎を直立させます。

茎は中空で節があり、枝分かれすることなくまっすぐのび、表面はざらつきます。

トクサは、3億5920万年前から2億9900万年前のころの石炭紀から生存していたと古くからの植物と言われますが、

茎を煮て乾燥することにより、研磨用に用いられてきました。

現在でも、高級ツゲ櫛や木工加工の仕上げに利用されているとのことですが、

また、昔から爪を磨くのにも利用されており、滝廉太郎もよく利用していたと言われます。

トクサの花言葉は、「率直」「非凡」で、9月25日の誕生花です

茎が枝分かれすることなくまっすぐのびるので「率直」、研磨に利用されて来たことから「非凡」とされたと言われます。

参照サイト・書籍

Wikipedia トクサ

庭木図鑑 樹木ペディア トクサ

季節の花 300 木賊 (とくさ)

弥生おばさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 トクサ

桶川 修 文 山と渓谷社 「くらべてわかる シダ

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