ノアザミ(野薊)は葉に鋭いトゲがつき、ピンクの花を咲かせます

2022年6月16日

ノアザミ(野薊)は、5~8月ごろに、4~5cmの大きさのピンクの花を上向きに咲かせます。花粉を昆虫に運んでもらう虫媒花で、花が終わった後には綿毛ができ、種は風で散布されます。深く切れ込んだ葉のさきには鋭いトゲがあり、近寄る時は注意が必要です。

ノアザミ(野薊)は葉に鋭いトゲがつき、ピンクの花を咲かせます

ノアザミのピンクの花

ノアザミの花

6月になり、ノアザミ(野薊)の花をよく見かけます。

アザミは、夏から秋にかけて花が咲く種類が多いようですが、ノアザミは5~8月(まれに10月ごろまで)咲くといわれます。

ノアザミは、野でよく見られるアザミとして名づけられました。

また、「アザミ」はアザミは触れようとするとトゲに刺されることから「欺かれた」としたものが変じたとする説や、

トゲに刺されて「驚きあきれる」ことを意味する古語の「あざむ」に由来するとする説、などがあるようです。

アザミと聞くと、葉のトゲが頭に浮かび、痛いイメージがありますが、花の大きさは4~5cmほどで、上向きに咲き、きれいなピンクの花です。

キク科の植物で、頭状花を咲かせますが、普通周辺部につく舌状花はなく、中心部の筒状花だけになります。(キク科の花の構造については、「北海道大学 露埼史朗 キク科」に詳しく書かれています。)

花は虫媒花(チュウバイカ)で、昆虫によって花粉が運ばれて受粉しますが、咲き始めに雄しべがあらわれ、昆虫が触れて刺激すると花粉をだして昆虫に附着します。

そして、雄しべが引っ込むと雌しべがでて、昆虫によって受粉されます。

花の様子を見てみました。

咲き始めたノアザミの花と雄しべ

こちらは、花が咲き始めたばかりのようですが、先端にきれいな薄紫の雄しべがたくさん出ています。

先端を見ると白いものがついていますが、こちらが花粉のようです。

ザミは、昆虫が触れると花粉が出てきて、昆虫につきます。なので、すでに昆虫が来て密を吸ったのかもしれません。

蝶や蜂が飛んできて蜜をすい、その時にこの花粉を体につけて、雌しべに運ぶことになるわけですね。

ノアザミは雄しべのあとに雌しべが出てきます。

咲いたノアザミの花

こちらは、花が開いたノアザミの姿です。たくさん伸びているのは雄しべの後に出てきた雌しべです。

もう少し拡大したのが、つぎの写真です。

ノアザミの雌しべ

先端が二股に分かれていることがわかるかと思いますが、ここについた花粉を取り入れて受粉することになるようです。

ここのアザミは、道路沿いの空き地でたくさん咲いていました。

道沿いに咲くノアザミ

普通は雑草扱いされるノアザミも、このようのたくさん咲いているときれいですね。

ノアザミの綿毛

ノアザミの綿毛

こちらは、別の場所で見たアザミの綿毛です。

花が終わった後に綿毛がついていますが、すでに風に飛ばされたのでしょうか。

先端部にいくつかの綿毛が見られますが、花の下についた総苞片が目立っています。

近くには、綿毛がかたまって落ちていました。

地面に落ちた綿毛

このように、たくさんの綿毛によって種が飛ばされ、増えていくでしょうね。

ノアザミの葉、茎

ノアザミの茎と葉

ノアザミの茎は60~100cmの高さになりますが、写真のように葉が互い違いで出て、その付け根から茎がのびています。

このような形で枝分かれして大きくなっているようです。

葉は、ご存じのように深い切れ込みがあり、先端に鋭いトゲがついています。

ノアザミの葉についたトゲ

先が白く針のようにとがっているのがトゲですが、触ると痛く近寄るのもはばかれます。

ノアザミは、スコットランドの国花になっていますが、このトゲが国を守ったたためといわれます

。詳しくは、「花言葉-由来 ノアザミ」をご覧ください。

葉は古くなると硬くなり痛いトゲがつきますが、若い葉は柔らかいので食べることもできます。

花言葉は、「独立」「報復」「厳格」「触れないで」。

いずれも、葉についたトゲに由来してつけられたようです。嫌がられるトゲですが、昔は評価が高かったのかもしれませんね。

ノアザミの基本情報・花言葉

ノアザミ(野薊)は、本州以南の日当たりのいい野原や道ばたに分布するキク科アザミ属の多年草で、アジア大陸には変種が自生すると言われます。

ノアザミの名前は、野に生えるアザミの意味で、アザミは触れようとするとトゲに刺されることから「欺かれた」としたものが変じたとする説や、トゲに刺されて「驚きあきれる」という意味の古語である「あざむ」に由来するとする説などがとのことです。

別名は、コアザミ。

学名は、Cirsium japonicum

英名は、Japanese thistle

花期は5~8月(まれに10月)で、秋に咲く種類が多いなかで、春から夏に咲く特徴があります。

花は、筒状花だけのピンク(まれに白)の頭状花で、茎の先端に上向いて咲きます。同じキク科で頭状花のオニタビラコジシバリが舌状花だけで咲くのと対照的な花の咲き方になります。

花の大きさは4~5cmくらいで、咲き始めに雄しべがあらわれ、昆虫が触れて刺激すると花粉をだして昆虫につきます。雄しべが引っ込むと雌しべがでて、昆虫によって受粉します。頭花の外側につく総苞片は直立してトゲになり粘液をだします。

ノアザミの葉は、根生葉と茎につく葉があり、羽状で深い切れ込みがあります。

根生葉は花期も残ります。茎につく葉は互生し、茎を抱くように付き、鋭いトゲがたくさんつきます。

茎は60~100cmの高さになり、上部で枝分かれます。

葉は古くなると鋭いとトゲが付きますが、若い葉は柔らかく、油いためや煮物で食べることができます。

ノアザミは、スコットランドの国の花になっています。

1263年にノルウェー軍がスコットランドに侵攻したとき、ノアザミのトゲがノルウエー軍を追い払うのに役立ったためといわれます。

アザミの花言葉は、「独立」「報復」「厳格」「触れないで」で、3月19日、4月19日、9月18日、10月21日の誕生花です

いずれも葉のアザミの鋭いトゲに由来するようです。

参照サイト・書籍

Wikipedia アザミ属 アザミ ノアザミ

みんなの趣味の園芸 ノアザミ

北海道大学 露埼史朗 キク科

NHK for School  たくみな受粉 アザミの秘密

花言葉-由来 ノアザミ

林 弥栄 監修  山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花

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