オヤブジラミは、4~5月ごろに、直径2mmほどのたくさんの小さな白い花を咲かせます。実は長さ5~6mmの長楕円状で、表面にカギ状のトゲがつき、衣服などにつく「くっつき虫」になります。中国、朝鮮半島や日本の本州以南に自生するセリ科の越年草です。
実がひっつき虫になるオヤブジラミ(雄藪虱)に咲く白い花
オヤブジラミの白い花
いま草むらに行くと、オヤブジラミ(雄藪虱)の花がたくさん咲いて、実がついています。
よくにたヤブジラミ(藪虱)にくらべて、実が大きめなのでオ(雄)とつけられ、ヤブ(藪)などに生えています。実の表面にたくさんの柔らかいトゲのようなものがついていて、衣服にくっつくので、シラミ(虱)のようだとして、オヤブジラミ(雄藪虱)と名づけられたとのことです。
シラミ(虱)と聞くと、困ったやつという印象しか持たないので、気の毒な名前かもしれません。
オヤブジラミの花言葉は、「人懐っこい」。実がひっつき虫だからでしょうか。名前にくらべればいい花言葉ですね。
花は、茎の先端の1点から複数の花茎を2段階で出して咲く複散形花序と呼ばれる形で、2mmほどの小さな花を咲かせています。写真では、4~7個ついた小花序が、6個ついて大花序になっています。
花序につく花の数は、4~7個ぐらいのようで、あまり多くはないようです。よくにたヤブジラミは、4~10個と言われるのと実の大きさが2.5~3.5mm(オヤブジラミは5~6mm)と小さいので、こちらはオヤブジラミなんだろうと思います。
花は、花びらが5枚で、下に大き目な子房がついています。そして、紫いろ味をおびてたくさんの毛がついています。
オヤブジラミの実
オヤブジラミの実は、最初は緑いろをしていますが、赤紫色になり、その後黒く変化します。
写真は5月初めに撮ったものですが、表面に赤紫色のトゲ状の毛をたくさんつけています。
実だけではなく。上部の茎には赤紫色に変化しているものも見られます。
草むらでも、たくさんの白い花や赤紫の実がよく目立つので、気を付けていればあまり実がくっつくことがありませんが、油断するとくっつかれます。
つぎの写真は、長靴のヒモについた実です。
ピンボケでうまく撮れませんでしたが、このようにたくさんくっついています。長靴で草むらにはいるので、いつの間にか、このようになっていました。しっかりとくっついていて、とるのがやっかいです。(;´д` )
オヤブジラミの葉と茎
石垣に1本で生えているところをとったのですが、上のほうは背景と区別がつかずわかりにくくなってしまいましたが、全体の形はおおよそわかるかと思います。
茎が地面から伸び、上部で枝分かれしていて、枝の先で花が咲いています。
葉の大きさは長さ2~15㎝ 幅2~8㎝で、2~3回羽状複葉で同じ形が2~3回繰り返してついており、小葉には深い切れ込みがあります。
印象としては、ニンジンの葉ににていますね。
最後に、オヤブジラミとヤブジラミの違いをまとめておきます。
オヤブジラミとヤブジラミの違い
オヤブジラミ | ヤブジラミ | |
小花序の花数 | 2~6個 | 4~10個 |
実の大きさ | 5~6mm | 2.5~3.5mm |
注意深くみるとわかるかと思いますが、ややこしいですね。
オヤブジラミの基本情報・花言葉
オヤブジラミ(雄藪虱)は、中国、朝鮮半島や、日本の日本全土に分布すると言われるセリ科ヤブジラミ属の越年草です。
名前は、近縁種のヤブジラミより実が大きいためオ(雄)がつけられ、藪に生えて実についたトゲ状の毛によって衣服につく様子がシラミのようだとしてつけられました。
学名は、Torilis scabra
英名は、rough hedgeparsley
花期は4~5月で、茎の先端や枝分かれした枝の先に複散形花序でたくさんの白い花を咲かせます。花の直径は2mmほどで、花茎の数は2~6個で、白い5弁の花になります。
果実は、長さ5~6mmの長楕円形で、先端がカギ状に曲がった柔らかいトゲがつき、衣服について種子散布されます。
葉は、2~3回羽状複葉で、小葉には深い切れ込みがあり、茎に互生します。
草丈は30~70cmで、茎は直っすぐ伸び、上部で分枝します。
よくにた植物に、ヤブジラミやヤブニンジンなどががあります。
オヤブジラミの花言葉は、「人懐っこい」。
参照サイト・書籍
松江に花図鑑 オヤブジラミ ヤブニンジンに似た仲間
花便り オヤブジラミ
林弥栄監修 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花」