フタリシズカ(二人静)とヒトリシズカ(一人静)の違い

2022年5月19日

フタリシズカとヒトリシズカは、同じセンリョウ科でよくにています。主な違いは、フタリシズカは、花序が2本(ときに1~5本)で丸い雄しべをつけ、葉は対生して多段につきます。一方、ヒトリシズカは花序が1本で細長い雄しべをつけ、葉は2対が十字対生します。

フタリシズカとヒトリシズカの花序や葉の違い

フタリシズカ

フタリシズカの白い花や葉

フタリシズカの白い花

4月ごろからでしょうか、山でフタリシズカ(二人静)の花をよく見かけます。

有毒なので、鹿にも食べられないようです、あちこちに生え、時には群生していて、30cmほどの茎の先端に、小さな白い花を、2~6cmの長さの花序で普通2本つけます。

名前は、源義経を愛した静御前の亡霊が舞う能「二人静」に由来し、この2本の花序を、静御前とその亡霊の姿にたとえてつけられたといわれます。

悲しい話に由来しますが、花は花弁のない両性花で、白く見えるのは雄しべになります。

2~4mmの短い雄しべが3枚つき、その中に雌しべが1本ついています。

花序は穂状花序(スイジョウカジョ)とよばれる形で、花が花茎に花柄なしに連なってついています。

花序が1本や無いフタリシズカ

普通は花序が2本になることが多いと言われるのですが、写真のように、1本のものや、ついてないものも見かけます。

Wikipediaによると、1~5本つくことがあると書かれています。でもついていないものもあります。

私も今まで、4本ついているものは時々みていたのですが、先日、6本ついているものや5本ついているものを見かけました

世紀の大発見?ですね。(*^m^*)

そのとき撮ったのが、つぎの写真です。

6本の花序のフタリシズカ

6本の花序のフタリシズカ

たしかに6本あるのですが、横から見ると数がよくわからないので、上からも撮ってみました。

せっかくフタリシズカという名前なのに、6本もあると言うのもどうかと思いますが、中にはこういう例外もあるということになるのだと思います。

見つけた場所では、ほかにも、花序が多いものが群生していました。

群生するフタリシズカ

ここで、フタリシズカの葉について見てみます。

写真のように、葉は茎の先端近くに対生して2~3対ついており、長さ5~17cm 幅2~8cmの楕円形~卵状楕円形で先が尖っています。

また、写真では見えませんが、葉のしたには3~4対の鱗片葉がつきます。

葉は光沢がなく、両面とも無毛で、縁に鋸歯があります。

フタリシズカの茎

フタリシズカの茎

このフタリシズカの茎は、直径は数mmで、高さは30~60cmになっていますが、このように濃い茶色になっていました。

資料では緑とされているので、時間がたつと緑に変化するのかもしれません。

また、茎の途中に節がついており、そこで緩く屈曲しているようです。

ヒトリシズカ

ヒトリシズカの花や葉

ヒトリシズカの花と葉

こちらは、素材サイトから借用したヒトリシズカ(一人静)の写真です。

フタリシズカ(二人静)と名前がよくにていますが、近縁種で、同じセンリョウ科チャラン属の多年草です。

フタリシズカが複数の花序をつけるのに対して、ヒトリシズカは1~2本の花序をつけるだけなので、静御前が一人で舞う姿を連想してつけられたといわれます。

こちらも茎の先端についた4枚の葉の上に、穂状花序でたくさんの花を咲かせていますが、花の形は大きく違っています。

この花も花弁がないのですが、長い雄しべが雌しべの子房にくっついており、このようにブラシのような形になっています。

また、花序の数は、普通1個ですが、2個のこともあるようです。

このように花の形がまったく違っているので、両者を間違えることはないでしょうね。

また、葉は上部で2対になって対生しています。

また、写真のように葉は光沢のある濃緑色で、長さ6〜10cm 幅2~8cmの楕円形〜卵状楕円形で、先は短く急にとがり、縁に鋭い鋸歯があります。

草丈は10~30cmで、フタリシズカより小さめです。

一と二の違いだけの、よくにた名前の花ですが、両者の違いをつぎにまとめます。

フタリシズカとヒトリシズカの違い

フタリシズカとヒトリシズカの違いは、花の形を見れば一目瞭然ですが、花序の数、葉の光沢、草丈などについても、以下のような違いがあります。

フタリシズカとヒトリシズカの違い
フタリシズカ ヒトリシズカ
花序の数 1~6個 1個
花の形(花弁は無い) 丸い雄しべ 細長い雄しべ
葉の付き方 対生した葉が多段 1対の葉が十字対生
葉の光沢 光沢がない 光沢がある
草丈(cm) 30~60 10~30

基本情報・花言葉

フタリシズカ(二人静)

フタリシズカ(二人静)は、中国中南部、朝鮮半島南部、南千島や日本全土に分布するセンリョウ科チャラン属の多年草で、有毒です。

名前は、源義経を愛した静御前の亡霊が舞う能の二人静に由来し、茎の先に白い花をつけた2本の花穂を、静御前とぞの亡霊の姿にたとえてつけられました。

別名は、サオトメバナ(早乙女花)。田植えのころに花がさくからでしょうか。

なお、サオトメバナは、ヘクソカズラの別名にも使われているので、注意が必要です。

学名は、Chloranthus serratus

花期は4~6月で、茎の先に白い花をたくさんつけた、2~6cmの穂状花序を1~5本つけます。

花は両性花で、1個の雌しべとそれを包む3個の白い雄しべ(2~4mm)で構成されます。

果実は長さ3mmほどの球形~卵円形で、緑色です。

葉は対生し、上部につく2~3対は長さ5~17cm 幅2~8cmの楕円形~卵状楕円形で、下部に3~4対の鱗片葉がつきます。

葉は光沢がなく、両面とも無毛で、縁に鋸歯があります。

茎は、地下を這う短い根茎から直立し、草丈は30~60cmになります。茎は緑色をしていて無毛。

フタリシズカの花言葉は、「静御前の面影」「いつまでも一緒に」で、3月15日、5月26日、5月30日の誕生花です

名前の由来や、2本の花穂がならんで咲いているようすからつけられたと言われます。

ヒトリシズカ(一人静)

ヒトリシズカ(一人静)は、中国北部、朝鮮半島、アムール、沿海州、ウスリー、南千島や日本全土に分布するセンリョウ科チャラン属の多年草です。

フタリシズカが複数の花序をつけるのに対して、ヒトリシズカは1~2本の花序をつけるだけで、静御前が一人で舞う姿を連想してつけられたといわれます。

学名は、Chloranthus quadrifoliu

花期は4~5月で、茎の先に白い花を密に付けた1~2cmの穂状花序を1本(まれに2本)つけます。

花は両性花で、花弁や萼はなく、雌しべ1個と子房の横腹に雄しべ3個がつき、雄しべの花糸は白色でよく目立ちます。

茎の下部の節には膜質の鱗片状の葉がつき、上部には2対の葉が十字対生します。

葉は光沢のある濃緑色で、長さ6〜10cm 幅2~8cmの楕円形〜卵状楕円形で、先は短く急にとがり、縁には鋭い鋸歯があります。

草丈は10〜30cmで、茎は直立し、はじめ赤紫色を帯びますが緑いろに変化します。

ヒトリシズカの花言葉は、「隠された美」「愛にこたえて」で、2月4日の花言葉です。

源義経を愛した静御前にちなんでつけられた花言葉と言われます。

参照サイト

Wikipedia フタリシズカ ヒトリシズカ

樹木図鑑 樹木ペディア フタリシズカ

EVERGREEN フタリシズカ

白岩先生の植物教室 センリョウ

弥生おばさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 フタリシズカ

LOVEGREEN ヒトリシズカ

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