タラノキ(楤木)の春から冬の営み

2021年1月25日

山菜の王様とも呼ばれる「タラの芽」は、タラノキ(楤木)の新芽です。昨年、タラノキの新芽がでる春から、冬に実が落ちるまでの変化を撮って見ました。撮った樹の高さは5m程と大きめで、幹の途中で2本に枝分かれしています。

タラの芽

タラの芽とタラノキ(4月3日)

写真では2本のタラノキに見えますが、根元は一つになっています。

3月25日には、まだ芽は出ていませんでしたが、

4月3日には、タラの芽が伸びていました。

樹には、ご覧のように、鋭いトゲがたくさんついています。

最近は、栽培品ではトゲがない品種もありますが、

この樹は、天然のものなので、トゲがついています。

伸びたのタラの芽(4月8日)

5日後には、このように伸びています。

このように成長が早いので、うっかりすると、

食べ時を逃してしまいそうです。

タラノキの葉

茂った葉(5月13日)

ほぼ1ケ月後には、このように、葉が茂っていました。

葉は長いものでは、1mほどだろうと思われます。

あっという間に大きくなるという印象を持ちました。

タラノキの葉

タラノキの葉は2回奇数羽状複葉で、

羽片(ウヘン)は5~9個、

羽片には、卵形の小葉がたくさんついています。

幹を鹿に齧られたタラノキ

鹿にかじられた幹(6月22日)

一か月以上たって、行ってみると、

幹が鹿にかじられていました。

ピンボケの写真ですが、

一部の残して、ほぼ一周にわたって、表皮がはがされていました。

そして、樹は葉を数枚落とし、しおれているように見えました。

幹をかじられたタラノキ(6月22日)

5月13日から6月22日のいつ起こったか不明ですが、

樹の下には、葉が3枚ばかり落ちていました。

落ちた葉

葉はついていないのですが、

鹿に食べたれたのかもしれません。

落ちた葉の基部

落ちた葉の根元は、写真のようでした。

この湾曲した部分で、樹の幹をしっかりとつかむようについていたんだろうと思います。

つぎの写真は、葉が幹に接続している部分を撮ったものです。

葉のつき方

幹につかまっている葉は、何等かの方法で、

離すことができるように思えます。

タラノキは、幹をかじられたために、

根からの水分の供給がすくなくなり、

葉から蒸散する水分とのバランスが崩れたため、

葉を落としたのではないでしょか。

思わぬ出来事で驚きましたが、

タラノキは、自ら葉を落とすことによって、

枯れることを回避したように思われます。

冬に葉を落とすのと、同じようなことを、今回の危機で行ったのではないかと思うのです。

枯れるかもしれないと思っていたので、驚きましたが、

タラノキの生命力も侮れないと感じました。

その後のタラノキ(7月5日)

その後、タラノキは徐々に回復しているように見えました。

タラノキの開花

花が咲いたタラノキ(9月5日)

9月になると、花が咲き始めました。

一度は、命を落としかけたタラノキですが、

しっかりと、本来の営みができるまで回復したようです。

タラノキの落葉

葉が落ちてきたタラノキ(11月18日)

その後、黒い実がたくさんつきました。

11月には、葉や実を落とし始め、

11月末には、すべて落ちてしまいました。

元にもどったタラノキ(11月29日)

11月末には、写真を撮り始めた3月と同じように、

2本の枝が並んでたっていました。

落ちた黒い実

樹の近くには、黒い実がついた枝が落ちていました。

この実が地上に落ちて、やがて芽を出すんでしょうね。

落ちた枝の根元

幹にくっついていた枝の部分です。

葉の場合とは少し違っていますが、この部分で、

幹にしっかりとくっついていたんですね。

タラノキについて

タラノキは、朝鮮半島、中国などの東アジアに分布しますが、日本では北海道から沖縄まで分する、ウコギ科タラノキ属の落葉低木です。

林道などで日当たりのいい場所に生える、先駆的な植物です。

新芽であるタラの芽は山菜としてよく食べられています。

タラノキの花言葉は、「他人を寄せ付けない」、「強い態度」。

おわりに

タラノキにタラの芽が出始めてから、葉や実が落ちるまでを撮りました。

途中、鹿が幹をかじるというアクシデントに会いましたが、タラノキは枯れることなく、無事生き抜きました。

根から吸い上げる水分が減ったことを感知してか、葉を落とすことによって、葉からの蒸散を減らしてバランスをとり、生き延びたように思えます。

その後、タラノキは実をつけ、熟した実を地上に落とし、ことしの営みを終えました。

タラノキの逞しさを見た思いがします。

(*`▽´*)

参照サイト

Wikipedia タラノキ

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