ヤブコウジは十両とも呼ばれ、高さが10~30cmほどになるサクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。赤いきれいな実をつけ、縁起物として正月の寄せ植えなどによく植えられます。名前は、ヤブに生え、実が柑橘類のコウジににていることに由来します。
<目次>
赤い実をつける縁起物のヤブコウジ(藪柑子、十両)
ヤブコウジ(藪柑子)の赤い実

ヤブコウジの実
近くの畑のヤブコウジに赤くて綺麗な実がついています。
茎の先端に輪生状に数枚の葉がつき、実はその下につくので隠れ気味で、うっかりすると見落としてしまいすが、リンゴやサクランボのような形の可愛い実です。
直径は5mm前後でしょうか。葉の近くから伸びた果柄に数個ついています。
ヤブコウジの名前は、日陰のヤブの中に生え、実が日本で昔から栽培されているコウジと呼ばれるミカンの仲間ににているとしてつけられたと言われます。
またの名は、よく知るられている十両です。カラタチバナ(百両)、センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)などと同じように、赤い実をつけ、小さめなので十両となったとのことです。
これらの植物は、お金の名前がついていることから、縁起物として正月の飾りによく使われます。あまり一般的ではありませんが、億両(ミヤマシキミ)という樹もあり、やはり冬に赤い実をつけます。
カラタチバナ以外については、以前の記事にかいていますので、興味をお持ちでしたら、関連投稿をご覧ください。
暮れ近くなると、ホームセンターなどで販売されますが、こちらの写真は、石垣や庭で育った自然のヤブコウジです。小さな実ですが、いろがあざやかで、きれいだと思います。

実を2個つけたヤブコウジ
この写真の実は、果柄の先に2個ついています。多いのもは5個くらいつくようなので、落ちてしまったようです。実の先に細い糸状のものが出ています。雌しべが枯れてついているようにも思えますが・・・
思わず食べたくなりますが、中には大きな種が1個入っていて、果肉はほとんどありませんでした。ひとつ食べようとしましたが、私には、味も感じられず、種だけの感じでした。
Wikipediaによると、ヤブコウジは草丈が低いので、地上性の鳥が食べると推測されているようですが、あまり食べるところは内容です。
ヤブコウジの花

ヤブコジの花
ヤブコウジの花は、7月から8月ごろに咲きます。
花の大きさは5~8mmで、複数個かたまって下向きについていますが、花冠は5つに分かれ、長さが4 ~ 5 mmの広卵形になっています。
この写真では、1つの花が咲いていて、実が4個つき始めているようです。
ヤブコウジの葉

ヤブコウジの葉
ヤブコウジの葉が、茎の先端とその下に、4枚の葉が10mm前後の葉柄を介して輪生状についています。
いろは濃い緑で光沢があり、長めの楕円形で、縁に小さな鋸歯が見られます。
葉もきれいなので、実とのコントラストがよくなるんでしょうね。

斑入のヤブコウジ
ヤブコウジには、斑入りの葉をつける種類もあり、古くから人気があり、栽培されてきたようです。
葉それぞれに入った模様が違っていて、きれいだと思いますね。(#^.^#)
ヤブコウジの基本情報・花言葉
ヤブコウジは、中国、朝鮮半島、台湾や、日本の北海道南部以南に分布するサクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。
名前は、ヤブ(藪)の中に生え、実が日本で古くから育てられている柑橘類であるコウジににているとして名づけられました。
別名は、ジュウリョウ(十両)、ヤマタチバナ(山橘)。ジュウリョウは、カラタチバナ(百両)やセンリョウ(千両)などと同じように赤い実をつけ、草丈がより低いことからつけられたと言われます。ヤマタチバナは、実が柑橘類のタチバナ(橘)ににていることに由来します。
学名は、Ardisia japonica
英名は、marlberry
花期は7~8月で、前年枝の葉腋に花序になって、2~5個の花を下向きにつけます。花は直径5~8mmほどの白い両性花です。
実は5~6mmの球形の核果で、10~11月ごろ赤く熟します。
葉は、茎の先端や茎に3~4枚が輪生状につきます。葉の長さは4~13cm 幅2~5cmの長楕円形で先端が尖り、縁に細かな鋸歯があります。
横にのびた細くて長い地下茎の先が直立し、草丈は10~30cmになります。
縁起物として、正月用の寄せ植えなどによく使われますが、薬草としても使われてきたようです。
また、園芸用品種に葉に斑入が入ったものもあり、江戸時代の起こったブームでは、高額で取引されたと言われます。
なお、ヤブコウジの仲間には、実が白いシロミヤブコウジ、葉が細いホソバヤブコウジ、白い実をつけるシラタマヤブコウジなどがあるとのことです。
ヤブコウジの花言葉は「明日への幸福」、「豊満な愛」で、12月30日の誕生花です。
参照サイト・書籍
三河の植物観察 ヤブコウジ
日本薬学会 ヤブコウジ
弥生おばさんのガーデニングノート「花と緑の365日」 ヤブコウジ
中川重年他解説 山と渓谷社 「山渓ハンディ図鑑5 樹に咲く花」
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センリョウ(仙蓼、千両)は赤い実がつき、正月飾りに使われます
マンリョウ(万両)の赤・白の実とセンリョウ(千両)
ミヤマシキミ(深山樒、億両)は白い花を咲かせ、赤い実をつけます